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屋根塗装と外壁塗装を同時にすると安くなる理由——足場代は「1現場に1回」だから

屋根塗装と外壁塗装を同時にすると安くなるのは、足場代が1回分で済むからです。足場は塗る面積に比例して増える材料費ではなく、その現場に1回組んで1回ばらす共通費なので、工事を2回に分けると丸ごと2回発生します。ただし、同時施工がいつでも得になるわけではありません。私たちはリフォーム会社向けの概算見積シミュレーターを作っている側なので、価格表の中で足場をどう持っているかを開示しながら、得になる条件とならない条件を整理します。

足場代は「面積」ではなく「1現場に1回」で決まる

塗装の見積は、大きく分けて2種類の費用でできています。塗る面積が増えれば増える費用(塗料代・職人の手間)と、面積とほとんど関係なく現場ごとに1回だけかかる費用です。

後者の代表が足場です。組み立てて、養生シートを張って、工事が終わったら解体して運び出す。この一連の作業は、屋根を塗っても外壁を塗っても、1回の現場につき1セットしか発生しません。

だから外壁と屋根を別々の年に頼むと、塗る面積は変わらないのに、足場の組み立て・解体だけが2回発生します。これが「同時なら安い」と言われるときの中身です。

足場は削れない——高さ2mからは法令上の義務

ここで大事なのは、足場が「あったほうが安全だから付けている」ものではない、という点です。労働安全衛生規則の第518条は、次のように定めています。

事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。

(出典: 労働安全衛生規則 第518条・e-Gov法令検索)

2階建ての外壁や屋根はほぼすべてこの高さを超えます。つまり足場は、値引き交渉で消せる項目ではなく、工事を法令どおり行うための前提条件です。

「足場代無料」とうたわれている場合、足場が消えたのではなく、その分が塗装の単価などに含まれている可能性があります。景品表示法は、実際よりも著しく有利だと誤認させる表示を禁じています。無料と書かれていたら、総額と内訳の両方で他社と比べるのが安全です。

私たちが価格表で足場を「外壁側」に寄せている理由

ここからは、見積を作る側の話です。私たちが提供している概算シミュレーターでは、リフォーム会社ごとに工事項目の単価表を持ちます。その設計で最初にぶつかったのが、まさに足場でした。

外壁塗装と屋根塗装の両方に「足場込み」の単価を持たせると、施主が両方を選んだ瞬間に足場代が2回分足されるからです。実際の現場では1回しか組まないのに、画面の上だけ2回組んだ金額が出てしまいます。

そこで私たちの標準サンプル価格表では、次のように持っています。

工事項目グレード単価の目安(延床1坪あたり)足場代の扱い
外壁塗装標準(シリコン塗料)2.4〜3.1万円込み
外壁塗装高級(無機塗料)3.6〜4.6万円込み
屋根塗装標準(シリコン系)0.9〜1.3万円別(外壁と共用)
屋根塗装高級(遮熱・無機系)1.5〜2.1万円別(外壁と共用)

(出典: 当社の概算シミュレーター標準サンプル価格表・2026年8月時点。導入会社ごとに単価は差し替わります)

屋根塗装の単価が外壁よりかなり低く見えるのは、屋根が安いからではありません。足場という共通費を外壁側に1回だけ寄せてあるからです。屋根の入力欄には「外壁と同時なら足場代を共用できます」という注記を出しています。

金額を機械が出すようになると、こういう「項目の足し算では表せない費用」がそのままバグになります。見積の自動化がむずかしいのは計算ではなく、現場で1回しか起きないことを、どの項目に持たせるかという設計の部分でした。

同時施工が得にならない3つのケース

足場が1回で済むのは事実ですが、それだけで決めると損をすることがあります。判断が分かれるのは、おもに次の3つです。

1つめは、屋根と外壁で寿命がずれているときです。外壁を耐用年数の長い塗料で塗り、屋根を数年以内に葺き替える予定があるなら、同時に塗った屋根の塗装は寿命を使い切らずに剥がされることになります。

2つめは、屋根が塗装で直る状態ではないときです。下地の割れや棟板金の浮きが進んでいる場合、塗装より先に補修や葺き替えの検討が必要になることがあります。塗ったあと数年で工事をやり直せば、結局そこで足場をもう1回組むことになります。

3つめは、両方やると塗料のグレードを落とさざるをえないときです。足場1回分を浮かせるために耐候性の低い塗料を選ぶと、次の塗り替えが早く来ます。どちらが得かは、浮く足場代と、塗り替え周期が何年縮むかを並べて比べる話になります。

つまり同時施工の判断は「安いかどうか」ではなく、屋根と外壁の次の工事時期をそろえられるかどうかで決まります。そろうなら同時、そろわないなら分ける。これが構造から見た結論です。

見積書で足場の重複を見抜く3か所

複数社から見積を取ったとき、足場まわりで見るところは3つだけです。

  1. 仮設・足場の行が何行あるか。 屋根と外壁で2行に分かれていたら、1回分か2回分かを必ず確認します
  2. 「一式」ではなく足場の面積(㎡)と単価が書かれているか。 面積が出ていれば、他社の見積と単価で比べられます
  3. 屋根の単価に「足場込み」と書かれていないか。 外壁側にも足場の行があれば、二重に乗っている可能性があります

金額そのものより、同じ費用が2か所に出ていないかを見るほうが早く違いが分かります。相場表の読み方は外壁塗装の見積もり相場は「幅」で読む、比較する会社の数についてはリフォームの相見積もりは何社が適正かにまとめています。

よくある質問

屋根と外壁を別々の会社に頼むと、足場代は2回かかりますか

原則として2回かかります。足場は現場ごとに組んで解体するものなので、会社が違えば別々に手配されます。時期をずらして同じ会社に頼む場合も、間が空けば2回分になるのが通常です。

「足場代無料」の会社は本当に安いのですか

足場そのものが不要になったわけではありません。高さ2m以上の作業には作業床の設置が法令で求められるため、費用はどこかの項目に含まれていると考えるのが自然です。無料と書かれている見積は、総額と内訳の両方で他社と比べてください。

同時にすると工期はどれくらい延びますか

屋根と外壁では塗る順番や乾燥の待ち時間が違うため、単純に2倍にはならないものの、外壁だけの場合より長くなります。具体的な日数は屋根材・塗料・天候で変わるので、見積の段階で工程表をもらって確認するのが確実です。

Webの概算シミュレーターで出た金額は、そのまま契約金額になりますか

なりません。Web上の概算は、入力された延床面積とグレードから計算した目安です。下地の傷み・付帯部の状態・足場を組む条件は現地でしか判断できないため、正式見積は現地調査のあとに出ます。

屋根だけ先に塗って、外壁を後回しにするのは損ですか

屋根と外壁の劣化の進み方が大きく違うなら、それが正しい判断になることもあります。損得は足場代1回分と、外壁を待つことで増える補修費を比べて決まります。迷う場合は、それぞれの「あと何年もつか」を業者に聞いて、時期がそろうかどうかで判断してください。


自社サイトに概算見積を置きたい会社様へ: 足場のような「1現場に1回だけの共通費」を二重計上せずに概算を出す仕組みは、メヤスの製品ページにまとめています。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の工事金額・法的判断を示すものではありません。法令の条文はe-Gov法令検索、単価は当社の概算シミュレーター標準サンプル価格表(2026年8月時点)にもとづきます。

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#メヤス#リフォーム#外壁塗装