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司法書士試験の出題まとめ — 制度・科目別出題数・基準点・判例

令和8年度の制度、午前・午後で何の科目が何問出るか、令和6年度に280点から350点へ変わった配点と 3つの基準点、そして合格点と合格率の推移を1ページに整理しました。 条文はe-Gov、判例は裁判所ウェブサイトの本文へ直接リンクしています。

このページの作り方: 制度の記述は法務省の公表物のみを根拠にし、判例17件・試験問題6年度分・ 条文12件のリンクは 2026-08-30 に全件アクセスして実在を確認しました。

先に、間違えやすいところ

  • 満点が令和6年度に280点から350点へ変わりました。記述式の配点が2問70点から2問140点になったためです。 令和5年度以前の合格点と令和6年度以降の合格点を、同じ物差しで比べることはできません。
  • 合格点だけを見ても足りません。午前の択一・午後の択一・記述式にそれぞれ基準点があり、1つでも下回ればその時点で不合格です。
  • 科目別の出題数は法務省の公表値ではありません。下の表は令和8年度の試験問題を1問ずつ数えたものです。
  • 令和8年度はまだ筆記の基準点までしか出ていません。口述試験が令和8年10月13日、最終合格発表が11月5日です。
  • 出題趣旨・採点実感はありません。公表されるのは試験問題・正解・基準点・得点順位別員数累計表・最終結果までです。

制度の骨格(令和8年度)

受験案内書の交付令和8年4月1日(水)〜5月18日(月)/全国の法務局・地方法務局 総務課
受験申請の受付令和8年5月7日(木)〜5月18日(月)(土日祝を除く)
筆記試験令和8年7月5日(日) 午前の部 9:30〜11:30/午後の部 13:00〜16:00
筆記試験の合格発表令和8年10月1日(木) 午後4時
口述試験令和8年10月13日(火)
最終合格発表令和8年11月5日(木) 午後4時
受験手数料8,000円(収入印紙で納付)
受験資格制限なし(年齢・学歴等を問いません)

出典: 令和8年度司法書士試験(法務省) / 受験案内書 / 千葉地方法務局の実施案内。 受験案内書のPDFは画像として作られており文字を検索できないため、日程は法務局のページから取っています。 適用される法令は令和8年4月1日現在で施行されているものです。

何の科目が何問出るか

午前が民法20問、 午後が不動産登記法16問と商業登記法8問。 この3科目だけで択一70問中44問を占めます。午後は択一35問と記述式2問をあわせて3時間で解きます。

午前の部

2時間・多肢択一式35問・105点満点

憲法第1問〜第3問3
民法第4問〜第23問20
刑法第24問〜第26問3
商法・会社法第27問〜第35問9
合計35

午後の部

3時間・択一35問105点+記述式2問140点

民事訴訟法第1問〜第5問5
民事保全法第6問1
民事執行法第7問1
司法書士法第8問1
供託法第9問〜第11問3
**不動産登記法**第12問〜第27問16
**商業登記法**第28問〜第35問8
記述式(不動産登記)第36問1
記述式(商業登記)第37問1
合計37

法務省は科目別の出題数を公表していません。この内訳は令和8年度 午前の部(PDF)午後の部(PDF)を1問ずつ確認して当社が作成したものです。配点は問題冊子の注意書きに明記されています。

令和6年度の配点変更 — 280点満点から350点満点へ

法務省は令和5年12月4日に、午後の部の記述式問題の配点を「2問で70点満点」から「2問で140点満点」へ変更し、 令和6年度以降の試験に適用すると公表しました。午後の部の試験時間3時間は変わっていません。

これにより満点は280点から350点になり、記述式の比重が全体の25%から40%へ上がりました。 下の表で令和5年度と令和6年度の合格点が211.0点から267.0点へ跳ねているのは、 試験が急に難しくなったからではなく、この配点変更によるものです。

出典: 司法書士試験筆記試験記述式問題の配点の変更について(法務省)

基準点と合格点の推移

年度の右にある3列が足切りです。 この3つをすべて超えたうえで、その次の合格点に届いて初めて筆記試験に合格します。

年度午前択一午後択一記述式合格点満点受験者合格者合格率
令和8年度105点中84点105点中75点未公表(最終結果で公表)未公表350点14,960未確定未確定
令和7年度105点中78点105点中72点140点中70.0点255.0点以上350点14,4187515.21%
令和6年度105点中78点105点中72点140点中83.0点267.0点以上350点13,9607375.28%
令和5年度105点中78点105点中75点70点中30.5点211.0点以上280点13,3726955.20%
令和4年度105点中81点105点中75点70点中35.0点216.5点以上280点12,7276605.19%
令和3年度105点中81点105点中66点70点中34.0点208.5点以上280点11,9256135.14%

受験者数は法務省の定義で「午前の部及び午後の部の双方を受験した者」の数です。合格率は法務省が公表していません。 合格者数を受験者数で割って当社が算出したもので、令和3年度から令和7年度まで5.1%〜5.3%とほぼ一定です。 合格者の平均年齢は令和7年度で42.05歳、最年少17歳・最年長74歳でした。

科目ごとの主要論点

午前の部 — 憲法・民法・刑法・商法

民法20問が単独最大。令和8年度は担保物権だけで5問出ています。

  • 憲法 — 人権の私人間効力、職業選択の自由、財産権、表現の自由、統治機構
  • 民法(総則) — 制限行為能力(後見・保佐・補助)、意思表示、時効
  • 民法(物権) — 物権変動と対抗要件、占有、相隣関係、共有
  • 民法(担保物権) — 留置権、質権、抵当権、物上代位、根抵当権、譲渡担保
  • 民法(債権) — 相殺、同時履行の抗弁、売買、委任
  • 民法(親族・相続) — 養子縁組、未成年後見、遺言、遺産分割
  • 刑法 — 住居侵入罪、文書偽造の罪、窃盗罪など各論中心
  • 商法・会社法 — 設立、株式と株主名簿、自己株式、役員の任期と責任、持分会社、組織再編

午後の部 — 手続法と登記法

択一35問のうち24問が登記法。ここが午後の主戦場です。

  • 民事訴訟法 — 共同訴訟、訴訟要件、文書提出命令、既判力、控訴
  • 民事保全法・民事執行法 — 各1問だが毎年出る
  • 司法書士法 — 司法書士・司法書士法人の業務範囲と義務
  • 供託法 — 弁済供託、執行供託、供託物の払渡請求
  • 不動産登記法(16問) — 電子申請と書面申請、印鑑証明書の添付、登記の申請人、判決による登記、所有権の登記、区分建物と敷地権、用益権と担保権の登記、信託、仮登記、審査請求、登録免許税
  • 商業登記法(8問) — 設立、本店移転、役員等の変更、募集株式の発行、法人の継続、嘱託登記、特例有限会社
  • 記述式2問 — 第36問=不動産登記(申請情報・添付情報)、第37問=商業登記(登記すべき事項・添付書面の名称及び通数)

条文を読む(e-Gov法令検索)

出題される12の法令です。午後の登記法2本は、条文だけでなく登記実務の先例まで問われます。

判例(17件)

事件名をクリックすると裁判所ウェブサイトの判決本文が開きます。 ここに挙げた判例はすべて午前の部の科目です。 午後の主戦場である不動産登記法・商業登記法の24問は、判例ではなく登記実務の先例・通達が問われる領域で、 裁判所の裁判例検索では追えません。判例集だけで午後を埋めることはできない、というのがこの試験の実際です。

憲法3

何が問われるか判例
三菱樹脂事件憲法の人権規定の私人間効力(間接適用説)労働契約関係存在確認請求最高裁判所大法廷 判決 昭和48年12月12日・民集 第27巻11号1536頁(昭和43(オ)932)
薬事法距離制限違憲判決職業選択の自由に対する消極目的規制の審査行政処分取消請求最高裁判所大法廷 判決 昭和50年4月30日・民集 第29巻4号572頁(昭和43(行ツ)120)
徳島市公安条例事件条例と法令の抵触の判断枠組み・刑罰法規の明確性集団行進及び集団示威運動に関する徳島市条例違反、道路交通法違反最高裁判所大法廷 判決 昭和50年9月10日・刑集 第29巻8号489頁(昭和48(あ)910)

憲法/民法1

何が問われるか判例
森林法共有林分割違憲判決財産権の制限(憲法29条2項)と民法258条の現物分割の態様共有物分割等最高裁判所大法廷 判決 昭和62年4月22日・民集 第41巻3号408頁(昭和59(オ)805)

民法11

何が問われるか判例
背信的悪意者排除論民法177条の「第三者」から背信的悪意者を除外する法理所有権確認請求最高裁判所第二小法廷 判決 昭和43年8月2日・民集 第22巻8号1571頁(昭和42(オ)564)
取得時効と登記時効完成後の第三者が背信的悪意者に当たる場合所有権確認請求本訴,所有権確認等請求反訴,土地所有権確認等請求事件最高裁判所第三小法廷 判決 平成18年1月17日・民集 第60巻1号27頁(平成17(受)144)
94条2項・110条の法意による第三者保護虚偽の外観作出への本人の帰責性と第三者保護所有権移転登記抹消登記手続請求事件最高裁判所第一小法廷 判決 平成18年2月23日・民集 第60巻2号546頁(平成15(受)1103)
抵当権の物上代位と債権譲渡目的債権の譲渡後も物上代位権を行使できる取立債権最高裁判所第二小法廷 判決 平成10年1月30日・民集 第52巻1号1頁(平成9(オ)419)
抵当権に基づく妨害排除請求競売妨害目的の占有者に対する妨害排除・直接明渡請求建物明渡請求事件最高裁判所第一小法廷 判決 平成17年3月10日・民集 第59巻2号356頁(平成13(オ)656)
敷金返還と明渡しの同時履行明渡債務と敷金返還債務は同時履行の関係に立たない家屋明渡請求最高裁判所第一小法廷 判決 昭和49年9月2日・民集 第28巻6号1152頁(昭和48(オ)30)
敷金返還請求権の発生時期敷金の担保する範囲と明渡完了時の具体的発生敷金返還請求最高裁判所第二小法廷 判決 昭和48年2月2日・民集 第27巻1号80頁(昭和46(オ)357)
賃借権の持分譲渡と612条実質関係に変わりがなければ無断譲渡でも解除事由とならない建物収去土地明渡請求最高裁判所第一小法廷 判決 昭和39年1月16日・民集 第18巻1号11頁(昭和37(オ)322)
更新料条項の有効性更新料条項と消費者契約法10条更新料返還等請求本訴,更新料請求反訴,保証債務履行請求事件最高裁判所第二小法廷 判決 平成23年7月15日・民集 第65巻5号2269頁(平成22(オ)863)
サッカーボール事件責任無能力者の監督義務者の責任(714条1項ただし書)損害賠償請求事件最高裁判所第一小法廷 判決 平成27年4月9日・民集 第69巻3号455頁(平成24(受)1948)
預貯金債権と遺産分割共同相続された預貯金債権は遺産分割の対象となる(判例変更)遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件最高裁判所大法廷 決定 平成28年12月19日・民集 第70巻8号2121頁(平成27(許)11)

商法・会社法2

何が問われるか判例
取締役の第三者に対する責任取締役の対第三者責任の法的性質(法定責任説)損害賠償請求最高裁判所大法廷 判決 昭和44年11月26日・民集 第23巻11号2150頁(昭和39(オ)1175)
事業譲渡の意義「営業(事業)の譲渡」=有機的一体としての機能的財産の移転建物並びに土地明渡所有権確認等請求最高裁判所大法廷 判決 昭和40年9月22日・民集 第19巻6号1600頁(昭和36(オ)1378)

試験問題と結果(一次資料)

法務省がサイトに残しているのは令和3年度から令和8年度までの6年分だけで、 ここに置いたのはその全件です。令和2年度以前は年度ページごと削除されていて遡れません (宅建の実施機関が昭和63年度まで残しているのとは対照的です)。

年度午前の部午後の部
令和8年度問題PDF↓問題PDF↓
令和7年度問題PDF↓問題PDF↓
令和6年度問題PDF↓問題PDF↓
令和5年度問題PDF↓問題PDF↓
令和4年度問題PDF↓問題PDF↓
令和3年度問題PDF↓問題PDF↓

ほかの法律系試験

  • 司法試験・予備試験

    制度の骨格、科目別の論点と中心判例、法務省の問題・出題趣旨・採点実感のPDF直リンク。

  • 行政書士試験

    行政法を中心に、択一・多肢選択・記述の出題構成と、繰り返し問われる判例を整理。

  • 宅地建物取引士

    50問の分野別内訳、年度ごとに動く合格基準点、権利関係の判例と条文リンク。

あわせて読む・観る

  • レイの法廷— 実際の判例をアニメの物語で解説するYouTubeチャンネル。各話にショート版・講義版・解説記事があります
  • 判例インデックス— 有名判例を分野別に一覧できるハブ