本文へスキップ
判例読了 約17

三菱樹脂事件をわかりやすく — 憲法の人権規定は私人間に直接適用されるのか

三菱樹脂事件は、憲法の人権規定が私人どうしの関係に直接は適用されないことを示した判例です。最高裁判所大法廷は昭和48年12月12日、憲法の自由権的基本権の保障規定は「もつぱら国または公共団体と個人との関係を規律するもの」であり、私人相互の関係を直接規律することを予定していないと述べました。そのうえで、限度を超える侵害は民法1条・90条などの一般条項の「適切な運用」によって調整する方途がある、としています。もっとも、この判決の本当の急所は入り口と出口の非対称にあります。誰を雇い入れるかは原則として自由でも、いったん試用期間付きで採用した後の本採用拒否は「解雇」にあたり、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が要る——最高裁はこの枠組みで審理し直せとして原判決を破棄し、事件を高等裁判所に差し戻しました。会社の全面勝訴ではありません。

三菱樹脂事件人権規定は私人間に — 憲法は民法1条・90条を通して働く

三菱樹脂事件とは — 最高裁判所大法廷 昭和48年12月12日判決

項目内容
裁判所最高裁判所大法廷
裁判年月日昭和48年(1973年)12月12日
裁判種別判決
事件名労働契約関係存在確認請求
事件番号昭和43年(オ)第932号
判例集民集27巻11号1536頁
原審東京高等裁判所(昭和42年(ネ)第1590号)
論点人権規定の私人間効力/試用期間中の留保解約権の行使
結論破棄差戻し
一次資料裁判所 判例検索(新しいタブで開く)

通称は、被告となった会社の社名からきています。判例集の裁判要旨は5つに分かれていて、その一が「憲法一四条や一九条の規定は、直接私人相互間の関係に適用されるものではない。」です。憲法の教科書でこの事件が最初に出てくるのは、この一行のためです。

何が起きたのか(事案)

判決文が認定・摘示した事実だけを、時系列で並べます。当事者は、判決文と同じく記号・呼称のまま扱います(元従業員=第一審の原告・上告審の被上告人、会社=上告人)。

元従業員は、大学在学中の昭和37年、会社が実施した大学卒業者の社員採用試験に合格しました。翌年、大学の卒業と同時に、3か月の試用期間を設けて採用されます。ところがその試用期間の満了直前、会社から、期間の満了とともに本採用を拒否する旨の告知を受けました。

会社が主張した本採用拒否の理由は、採用試験の際に提出を求めた身上書の所定の記載欄に虚偽の記載をし、または記載すべき事項を秘匿し、面接試験における質問に対しても虚偽の回答をした、というものです。秘匿されたとされた事実の中身は、在学中の学生自治会での活動や学生運動への参加、および学外団体での役職の申告に関するものでした。会社は、この行為が民法96条にいう詐欺にあたり、また管理職要員としての適格性を否定するものだと主張しています。

元従業員は、労働契約関係の存在確認を求めて提訴しました。第一審と原審は、本採用拒否を無効と判断します。原審の理屈はこうでした。企業者が労働者を雇傭する場合のように一方が他方より優越する地位にある場合には、その一方が他方の憲法19条の思想・信条の自由をその意に反してみだりに侵すことは許されない。労働者の思想・信条によって雇傭関係上差別をすることは憲法14条・労働基準法3条に違反する。したがって、採用試験の際に政治的思想・信条に関係のある事項の申告を求めること自体が公序良俗に反して許されず、応募者が秘匿等をしても不利益を課すことはできない——。

会社が上告し、最高裁判所大法廷が判断したのが本件です。

争点 — 私人どうしの関係に、憲法をそのまま持ち込めるか

争点は一文にすると、会社と個人という私人間の関係に、憲法の人権規定を直接適用して契約上の判断を左右できるかです。原審はそれができる前提に立ち、上告理由はそれを正面から争いました。憲法19条・14条は国家対個人の関係を規律するもので、その内容が当然にそのまま民法90条の公序良俗の内容になるわけでもない、というのが上告人の言い分です。

裁判所は何と言ったか(判旨)

判決文はやや長いので、順番に4つに区切って読みます。引用は原文のままです(昭和期の判決文なので、促音が大きく書かれ、条文は漢数字です)。

一 憲法の人権規定は、私人相互の関係を直接規律しない

しかしながら、憲法の右各規定は、同法第三章のその他の自由権的基本権の保障規定と同じく、国または公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障する目的に出たもので、もつぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない。

つまり、憲法19条や14条が向けられている相手は、国や地方公共団体だということです。判決は、その理由として、基本的人権という観念が成立し発展した歴史的な沿革と、憲法の基本権規定の形式・内容を挙げています。

二 では、私人どうしの対立はどう調整されるのか

私人間の関係においては、各人の有する自由と平等の権利自体が具体的場合に相互に矛盾、対立する可能性があり、このような場合におけるその対立の調整は、近代自由社会においては、原則として私的自治に委ねられ、ただ、一方の他方に対する侵害の態様、程度が社会的に許容しうる一定の限界を超える場合にのみ、法がこれに介入しその間の調整をはかるという建前がとられている

国家と個人の間では、守るべき自由は一方の側にしかありません。ところが私人間では、会社の経済活動の自由と個人の思想の自由のように、自由と自由がぶつかります。だから同じ物差しでは測れない、というのがこの部分です。判決は、優越的な力を持つ私人を国や公共団体と同視する見解も採りませんでした。事実上の支配関係は「その支配力の態様、程度、規模等においてさまざまであり」、権力の法的独占の上に立つ国家の支配とは「画然たる性質上の区別が存する」からだとしています。

そのうえで、有名な一文が出てきます。

場合によつては、私的自治に対する一般的制限規定である民法一条、九〇条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によつて、一面で私的自治の原則を尊重しながら、他面で社会的許容性の限度を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護し、その間の適切な調整を図る方途も存するのである。

つまり、憲法をそのまま持ち込むのではなく、民法の一般条項という受け皿を通して調整せよ、ということです。ここで挙げられている条文は、いま読むとこうなっています。

公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。(民法90条)

民法1条は、私権が公共の福祉に適合すべきこと、権利の行使と義務の履行が信義に従い誠実に行われるべきこと、権利の濫用が許されないことを定めた規定です(条文はe-Gov法令検索(新しいタブで開く)で確認できます)。権利濫用の側から一般条項の働き方を見たい場合は、権利濫用の論証 — 民法1条3項で、答案に何をどう書くかもあわせてどうぞ。

三 誰を雇い入れるかは、原則として自由

企業者は、かような経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇傭するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるのであつて、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできないのである。

憲法22条・29条が経済活動の自由も保障している以上、雇入れの段階では企業の側にも強い自由がある、という理屈です。判決は労働基準法3条についても、こう述べて切り分けました。

これは、雇入れ後における労働条件についての制限であつて、雇入れそのものを制約する規定ではない。

労働基準法3条は「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」と定めています(e-Gov法令検索(新しいタブで開く))。条文が「労働条件について」と書いていることを、判決はそのまま読んだわけです。この流れで、思想・信条の調査や、これに関連する事項の申告を求めることも違法とはいえない、とされました。

四 いったん試用期間付きで採用した後は、話が変わる

ここからが、この判決のもう一つの顔です。

いつたん特定企業との間に一定の試用期間を付した雇傭関係に入つた者は、本採用、すなわち当該企業との雇傭関係の継続についての期待の下に、他企業への就職の機会と可能性を放棄したものであることに思いを致すときは、前記留保解約権の行使は、上述した解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許されるものと解するのが相当である。

そして結論として、

したがつて、被上告人に対する本件本採用の拒否は、留保解約権の行使、すなわち雇入れ後における解雇にあたり、これを通常の雇入れの拒否の場合と同視することはできない。

つまり、本採用の拒否は「採用しない」ではなく「解雇」として扱われる、ということです。判決は、当初知ることができず、また知ることが期待できないような事実を後から知った場合に、その事実に照らして引き続き雇っておくのが適当でないと判断することが客観的に相当と認められるときに限って解約権を行使できる、と述べています。原審はこの枠組みで事実関係を確定していないとして、判決は「法令の解釈、適用を誤り、その結果審理を尽さなかつた違法がある」として破棄し、審理を東京高等裁判所に差し戻しました。

入り口と出口の非対称 — この判決の急所

「三菱樹脂事件=憲法は私人間に直接適用されない」とだけ覚えると、判決の後半が抜け落ちます。この判決は、同じ会社の同じ人事について、入り口と出口で違う物差しを当てています。

入り口(雇入れの段階)

  • 誰をどんな条件で雇うかは、原則として企業者の自由
  • 思想・信条を理由に拒んでも、当然に違法とはいえない
  • 思想・信条の調査や申告を求めることも、違法とはいえない
  • 労働基準法3条は雇入れそのものを制約しない

出口(本採用拒否の段階)

  • 留保解約権の行使であり、雇入れ後における解雇にあたる
  • 客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性が要る
  • 当初知り得なかった事実を知った場合に限って行使できる
  • 他企業への就職の機会を放棄させた点が考慮される

なぜ非対称になるのか。判決の理由付けを一言でいえば、採用前の応募者と、採用後の従業員とでは、失うものが違うからです。試用期間に入った人は、その会社で働き続けるという期待の下に、他の会社への就職の機会と可能性を手放しています。この一点が、雇入れの自由という原則を出口の側で押し返しています。

差戻し審が何を審理すべきかについても、判決は具体的に列挙しています。秘匿等の事実があったかどうか、秘匿された団体加入や学生運動参加の内容・態様・程度、とくに違法にわたる行為があったかどうか、秘匿等の動機や理由。そのうえで、それらが入社後の行動・態度の予測や人物評価に及ぼす影響を検討し、採否決定にとっての意義と重要性を勘案して、合理的理由の有無を判断せよ、というのが最高裁の指示でした。「思想・信条の秘匿だから即アウト」でも「即セーフ」でもない、事実の中身を見て決める構造です。

この判決が後の裁判で果たした役割

この判決は、その後の私人間の紛争で繰り返し引かれています。

昭和女子大事件(最高裁判所第三小法廷 昭和49年7月19日判決・民集28巻5号790頁)は、私立大学が学則の細則で学生の政治活動を規制し、違反した学生を退学処分にした事件です。判決は本件を名指しで引用しました。

憲法一九条、二一条、二三条等のいわゆる自由権的基本権の保障規定は、国又は公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障することを目的とした規定であつて、専ら国又は公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互間の関係について当然に適用ないし類推適用されるものでないことは、当裁判所大法廷判例(昭和四三年(オ)第九三二号同四八年一二月一二日判決・裁判所時報六三二号四頁)の示すところである。

引用されている「昭和四三年(オ)第九三二号同四八年一二月一二日判決」が、本件です。三菱樹脂事件が「もつぱら」と平仮名で書いた語を、昭和女子大事件は「専ら」と漢字で書いています。判決ごとに表記が違うので、引用するときは元の判決文を見てください(裁判所 判例検索(新しいタブで開く))。この判決は、私立学校の学則の規定について直接憲法違反かどうかを論じる余地はないとしたうえで、退学処分の当否は「社会通念上合理性を認めることができないようなものでないかぎり」懲戒権者の裁量の範囲内である、という枠組みで処理しました。

日産自動車事件(最高裁判所第三小法廷 昭和56年3月24日判決・民集35巻2号300頁)は、一般条項が実際に働いて結論を動かした例です。就業規則が男性の定年を60歳、女性の定年を55歳と定めていた事件で、判決はこう述べました。

上告会社の就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は、専ら女子であることのみを理由として差別したことに帰着するものであり、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法九〇条の規定により無効であると解するのが相当である(憲法一四条一項、民法一条ノ二参照)。

読むべきは、無効の根拠が民法90条であり、憲法14条1項は括弧の中で「参照」と添えられているという構造です(裁判所 判例検索(新しいタブで開く))。三菱樹脂事件が示した「一般条項の適切な運用」が、どう実装されるかがそのまま見えます。事件の詳細は日産自動車事件をわかりやすく — 男女別定年制はなぜ「無効」になったのかにまとめています。なお、引用中の「民法一条ノ二」は当時の条文で、現在の民法2条(この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない)にあたります。

学説はどう整理しているか

私人間効力をめぐっては、学説が「直接適用説」「間接適用説」「無適用説(非適用説)」といった名前で立場を整理してきました。三菱樹脂事件は、間接適用と理解されることが多い判決です。

ただし、判決文にこれらの学説名は一つも出てきません。 最高裁が書いたのは、憲法の規定は私人相互の関係を直接規律することを予定していないということと、民法1条・90条や不法行為に関する諸規定等の「適切な運用によつて…適切な調整を図る方途も存する」ということだけです。「方途も存する」という言い方は、特定の理論を採用しますという宣言とは距離があります。

以上は学説の整理であり、判例がどれかの説を採ったことを意味しません。答案でも「判例は間接適用説を採用した」と断定するより、「判例は直接適用を否定し、一般条項の適切な運用による調整の方途を示した(いわゆる間接適用と理解されている)」と書くほうが、判決文に忠実です。

司法試験の答案ではどう書くか

憲法の答案は、ふつう①権利と条文の特定 → ②保障範囲 → ③制約の認定 → ④正当化(違憲審査基準の定立) → ⑤あてはめ、の順に進みます。私人間効力は、この五段に入る前の「入り口の関門」です。 相手が国家でないと分かった時点で、そもそも憲法を直接使えるのかが先に問題になります。

私人間の事案で答案が通る順序
  1. 誰の・どの行為が、誰の・どの権利を制約しているのかを特定する — 本件なら、会社の本採用拒否が、元従業員の思想・信条の自由(憲法19条)にかかわる
  2. 前段の関門に入る — 相手は国家ではない。憲法の人権規定を直接適用できるかを問い、判例が直接適用を否定していることを示す
  3. 受け皿となる私法の規定を決める — 民法90条(公序良俗)、民法1条、不法行為の規定など。ここに憲法の趣旨・価値を読み込む
  4. 一般条項の枠内で衡量する — 会社の経済活動の自由と、個人の思想・信条の自由という、対立する二つの自由を較量する。目的・手段の審査ではなく衡量型になる
  5. 本件固有の関門を落とさない — 雇入れの自由の話で終えず、留保解約権の行使(=解雇)には客観的合理性と社会通念上の相当性が要る、というもう一段まで進む
  6. 結論を書く — 「憲法19条違反だから無効」とは書かない。「民法90条により無効(または解約権の行使は許されない)」と、私法の言葉で締める

前段で答案を終わらせないことが、この論点の最大の落とし穴です。「間接適用である。以上」で止めた答案は、関門を通過しただけで実体判断をしていません。90条や解約権の枠内で、本件の拒否が効力を持つかまで書いて初めて答えになります。

もう一つ、判例の書き方と答案の書き方は同じではありません。判決は事案の解決に必要な限りで判断を示し、明示の審査基準を立てないことも多い一方、答案は規範を先に立てて、規範→あてはめの構造を外形からも見せます。判例の言い回しをそのまま規範にできないときは、「判例はこう判断した。答案ではこれを◯◯という規範に整理して使う」と二段で書くと、判文の理解と答案の作法の両方を示せます。統治機構ではなく人権の審査基準そのものの立て方は、堀越事件をわかりやすく — 公務員のビラ配りは、なぜ「無罪」になったのかのような、国家が相手の事案で確認するのが早道です。

短答式では、この判例の理解を問う出題が繰り返されています。年度まで確認できたのは、司法試験の平成18年・平成19年・平成21年・令和5年・令和6年と、予備試験の平成28年・平成29年・令和元年・令和3年の計9回です(論文式の出題年度は特定できていないため、ここでは書きません)。憲法の判例の中でも出題頻度が高い部類で、しかも問われるのは「直接適用されない」という結論だけでなく、雇入れの自由と留保解約権の区別まで及びます。

関連する判例と、この論点の広がり

私人間効力は、雇用の場面だけの話ではありません。私立学校と学生(昭和女子大事件)、就業規則と従業員(日産自動車事件)、私的な団体とその構成員——国家が出てこない紛争のすべてが、この関門を通ります。一般条項が受け皿になるという構造は、権利の濫用(権利濫用の論証)や信義則の議論と地続きです。

この記事に対応する動画は現在制作中で、公開したら判例の一覧ページに並びます。これまでに公開した回はレイの法廷からご覧ください。

よくある質問

Q. 三菱樹脂事件で、最高裁はどちらを勝たせたのですか?

どちらも勝たせていません。最高裁は原判決を破棄し、事件を東京高等裁判所に差し戻しました。本採用拒否が有効か無効かは、留保解約権の行使として客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性があるかを、差戻し審が事実関係に基づいて判断すべきものとされました。

Q. 憲法は、会社と個人の間ではまったく使えないのですか?

直接は適用されません。ただし判決は、民法1条・90条や不法行為に関する諸規定等の「適切な運用によつて」基本的な自由や平等の利益を保護し、適切な調整を図る方途も存する、と述べています。憲法の価値は、私法の一般条項の解釈を通して働くという理解です。

Q. 思想・信条を理由に採用を断るのは、いまも自由なのですか?

判決は「法律その他による特別の制限がない限り」という留保を付けたうえで、雇入れの段階では原則として自由であり、思想・信条を理由に拒んでも当然に違法とはいえない、としています。この留保のとおり、個別の法律が制限を設けている場面はその法律の適用が問題になります。判決が扱ったのは、そうした特別の制限がない場合の一般論です。

Q. 答案に「判例は間接適用説を採用した」と書いてよいですか?

判決文に「間接適用説」という語は出てきません。学説側の整理の名前です。答案では、判例が直接適用を否定したことと、一般条項の適切な運用による調整の方途を示したことを、判決の言葉に沿って書くのが安全です。学説名を使うときは、それが学説の整理であると分かる形にしてください。

Q. 本採用の拒否は、ふつうの解雇と同じ厳しさで判断されるのですか?

判決は、本採用拒否を「雇入れ後における解雇」にあたるとし、通常の雇入れ拒否と同視できないとしました。他方で、試用期間の解約権は、当初は判定資料を十分に集められないため後日の最終決定を留保する趣旨のものだ、とも述べています。通常の解雇と完全に同じ物差しとは言っておらず、その趣旨・目的に照らした合理性と相当性が求められる、という枠組みです。


本記事は、公開されている判決文と条文にもとづく一般的な解説であり、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士等の専門家にご相談ください。判決文が記号や呼称で示している当事者は、記事でも同じ扱いのままとしています。制作: JurisCode.AI

この判例を動画で見る

判例アニメ「レイの法廷」第11話三菱樹脂事件」。 事件の経過を物語で追い、答案の形まで通して話しています。

コメント

コメントは即時公開されます。不適切な内容は予告なく削除します。

#レイの法廷#判例#憲法#私人間効力