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労働の判例

レイの法廷【アニメで判例解説】

過労と会社の責任・長時間労働・残業代・解雇や内定取消しなど、働く人と会社のあいだで起きた裁判を扱います。

公開中 6話(新しい順)

労働の各話(6話)

  • 第44話「広島中央保健生協事件(妊娠を伝えた後の降格)」のサムネイル
    EP.442026年10月10日 公開

    第44話 広島中央保健生協事件(妊娠を伝えた後の降格)

    論点: 妊娠中の軽易業務への転換を契機とした降格は違法か ― 「渋々ながら」の了解は自由な意思に基づく承諾といえるか

    最高裁 第一小法廷 平成26年10月23日判決(民集68巻8号1270頁)― 差戻審 広島高裁 平成27年11月17日判決(労働判例1127号5頁)

    病院で働く理学療法士は、第2子の妊娠で労働基準法65条3項の権利を使い、訪問リハビリから病院リハビリへの転換を求めました。すると上司から電話で「移る先には副主任は要らない」と伝えられ、渋々ながら了解。育休を経て復帰すると、職歴が6年短い職員が副主任になっていて、自分は戻されませんでした。一審・二審は本人の同意があったとして生協の勝ち。最高裁第一小法廷は、男女雇用機会均等法9条3項を強行規定(当事者の合意では外せない決まり)とし、妊娠中の軽易業務への転換を「契機として」降格させる措置は原則としてこの条項が禁止する取扱いに当たり、例外は自由な意思に基づく承諾か特段の事情の二つだけだとして、二審を破棄し差し戻しました。この回では均等法9条3項と育児介護休業法10条を条文から順に整理します。

    • 広島中央保健生協事件
    • 男女雇用機会均等法9条3項
    • 妊娠を契機とする降格
    • 労働基準法65条3項
    • 育児介護休業法10条
    • 自由な意思に基づく承諾
    • 東朋学園事件
  • 第41話「東亜ペイント事件(転勤はどこまで命じられるか)」のサムネイル
    EP.412026年10月5日 公開

    第41話 東亜ペイント事件(転勤はどこまで命じられるか)

    論点: 家族の事情で転勤を断れるか ― 転勤命令が権利の濫用になるのはどんな場合か

    最高裁 昭和61年7月14日判決(昭和59年(オ)第1318号・裁判集民事148号281頁)

    昭和48年秋、神戸営業所の営業社員は、71歳の母・保育所で働き始めた28歳の妻・2歳の長女を理由に、広島、そして名古屋への転勤を断りました。会社は代わりの社員を名古屋へ送り業務に支障はありませんでしたが、翌年1月、社員を懲戒解雇します。一審・二審は社員の勝ち。最高裁は、労働協約・就業規則に転勤の定めがあり勤務地を限定する合意も無かったとして会社が転勤を命じる権限を認め、濫用になるのは業務上の必要性がない場合や「通常甘受すべき程度を著しく超える不利益」を負わせる場合などに限られるとし、必要性は「余人をもつては容易に替え難いといつた高度の必要性」までは要らないと判示して、二審を破棄し差し戻しました。

    • 東亜ペイント事件
    • 転勤命令
    • 配転
    • 権利の濫用
    • 通常甘受すべき程度
    • 労働契約法3条
    • 育児介護休業法26条
  • 第40話「NHKサービスセンター事件(カスハラと会社の安全配慮義務)」のサムネイル
    EP.402026年10月4日 公開

    第40話 NHKサービスセンター事件(カスハラと会社の安全配慮義務)

    論点: 客の暴言から会社はどこまで働く人を守る義務があるか ― 相手を訴えるところまで求められるか

    横浜地裁川崎支部 令和3年11月30日判決(令和2年(ワ)第284号)― 東京高裁 令和4年11月22日判決も同じ結論

    テレビ局の視聴者コールセンターで17年働いたオペレーターの女性は、毎日のように暴言や卑わいな電話を受けていました。センターには「責任者へ転送してよい」「責任者が代わって抗議する」というルールと相談窓口がありましたが、女性は、会社は相手に刑事・民事の手段をとるところまですべきだったとして、安全配慮義務(働く人の安全と健康に配慮する義務)を果たさなかったことへの慰謝料を求めて訴えました。横浜地裁川崎支部は、ルールどおりに対処していたことなどを総合考慮し、直ちに法的措置をとる義務があるとまでは認められないとして請求を退けました。逆に言えば、仕組みの無い会社は同じ場面で責任を問われうる。2026年10月1日からは、そのカスハラ対策が労働施策総合推進法33条で全事業主の義務になりました。

    • カスタマーハラスメント
    • 安全配慮義務
    • 労働契約法5条
    • 労働施策総合推進法33条
    • 川義事件
    • 電通事件
    • NHKサービスセンター事件
  • 第39話「大日本印刷事件(内定取消しはどこまで許されるか)」のサムネイル
    EP.392026年10月3日 公開

    第39話 大日本印刷事件(内定取消しはどこまで許されるか)

    論点: 採用内定で労働契約は成立しているか ― 始期付解約権留保付労働契約と、取消しの限界

    最高裁 昭和54年7月20日判決(昭和52年(オ)第94号)

    昭和43年7月、大学4年生に文書で採用内定の通知が届き、誓約書を出し、大学の決まりに従ってもう一社を辞退しました。ところが翌年2月12日、入社式の1か月半前に、理由の書かれていない取消通知が届きます。最高裁は、募集は申込みの誘引、応募は申込み、内定通知はその承諾であり、働き始める時期を卒業直後とし、誓約書に基づく解約権を残した労働契約が成立していると判断。取消しが許されるのは「採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実」に限るとし、会社が挙げた「グルーミーな印象」は最初から分かっていたことだから解約権の濫用として無効としました。いまは同じ物差しが労働契約法16条(解雇)に条文として置かれています。

    • 大日本印刷事件
    • 内定取消し
    • 始期付解約権留保付労働契約
    • 労働契約法16条
    • 三菱樹脂事件
    • 解約権の濫用
    • 申込みの誘引
  • 第37話「日本マクドナルド事件(名ばかり管理職と残業代)」のサムネイル
    EP.372026年9月30日 公開

    第37話 日本マクドナルド事件(名ばかり管理職と残業代)

    論点: 店長は「管理監督者」に当たるか ― 肩書きではなく実態で線を引く三つの物差し

    東京地裁 平成20年1月28日判決(平成17年(ワ)第26903号 賃金等請求事件)

    全国3,802店を展開するハンバーガーチェーンの店長は、就業規則で「管理監督者」とされ、残業代の規定が外されていました。各営業時間帯に必ず置く「シフトマネージャー」役のアルバイトが足りなければ店長自身が店に立つほかなく、60日以上の連続勤務、月100時間を超える残業。基準給は月31万円で固定され、最下位の評価の店長の年収は、残業代の付く一つ下の職位の平均より低くなっていました。東京地裁は、管理監督者かどうかを職務内容・権限と責任、勤務態様、待遇の三つで見て、店長は「管理監督者に当たるとは認められない」とし、割増賃金503万4,985円と付加金251万7,493円の支払を命じました。残業代の決まり(労働基準法37条)と、その適用除外(41条)を条文から整理します。

    • 日本マクドナルド事件
    • 管理監督者
    • 労働基準法41条
    • 名ばかり管理職
    • 割増賃金
    • 労働基準法37条
    • 付加金
  • 第35話「電通事件(過労自殺と会社の責任)」のサムネイル
    EP.352026年9月27日 公開

    第35話 電通事件(過労自殺と会社の責任)

    論点: 真面目で責任感が強い性格を理由に、賠償を減らしてよいか ― 使用者の注意義務と過失相殺の類推

    最高裁 平成12年3月24日判決(民集54巻3号1155頁)

    入社1年5か月の新入社員が、恒常的な長時間労働の末に亡くなりました。判決が認定した申告残業は多い月で85時間、午前2時以降の退勤は月12回・うち徹夜8回。上司は徹夜と健康の悪化を知りながら「帰って寝ろ」と指導したのみで、業務量を調整しませんでした。最高裁は、使用者は「業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務」を負うとして会社の責任を認め、本人の性格と両親の落ち度を理由に3割を減額した二審を、いずれも法令の解釈適用を誤った違法があるとして破棄しました。※過労と自死に関わる裁判を扱います。つらいときは厚生労働省「こころの耳」などの相談窓口へ。

    • 電通事件
    • 過労自殺
    • 安全配慮義務
    • 使用者責任
    • 民法715条
    • 過失相殺
    • 心因的要因
    • 労働契約法5条

当事者は仮名とし、公開されている判決文の事実を基に再構成しています。

各動画の概要欄に、判決全文などの出典を載せています。解説は学習の参考としてご覧ください(法的助言ではありません)。

労働の判例についてよくある質問

労働の判例は、どこから見るとよいですか

よく見られているのは「広島中央保健生協事件(妊娠を伝えた後の降格)」の回です。まず3分以内のショート版で事件と結論をつかみ、気になったら20分以内の講義版で条文と理由づけまで見る流れが分かりやすいです。

労働では、どんな判例を扱っていますか

過労と会社の責任・長時間労働・残業代・解雇や内定取消しなど、働く人と会社のあいだで起きた裁判を扱います。現在は6話を公開しており、1つの判例につきショート版と講義版の2本があります。

解説の内容は、法律相談として使えますか

使えません。公開されている判決文などを基にした一般的な解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。出典は各動画の概要欄に記載しています。