
第43話 ヤフー事件(赤字会社の合併と欠損金の引継ぎ)
論点: 条文の要件を形のうえで満たした行為も否認できるか ― 組織再編税制の「濫用」(法人税法132条の2)
最高裁 平成28年2月29日判決(平成27年(行ヒ)第75号・民集70巻2号242頁)
平成20年、インターネット大手は、543億円の欠損金(過去の赤字)を抱える完全子会社のデータセンター会社を買って合併し、その欠損金を自分の赤字として申告しました。買収の前に自社の社長を相手会社の取締役副社長に就け、期間はおよそ3か月・非常勤・報酬なしで、特定役員引継要件を形のうえでは満たしていました。税務署長は欠損金の引継ぎを否認し、追徴は本税と加算税で約179億円。最高裁は、法人税法132条の2の「不当に減少させる」とは組織再編税制の規定を「租税回避の手段として濫用する」ことをいうとし、手順や形式が不自然か、税負担の減少以外に合理的な事業目的があるかで判断するとして、副社長就任を「明らかに不自然なもの」と結論しました。就任そのものが違法なのではなく、否認されたのは税務上の計算だけです。
- ヤフー事件
- 法人税法132条の2
- 組織再編税制
- 欠損金の引継ぎ
- 特定役員引継要件
- 租税回避
- 法人税法57条

