
第35話 電通事件(過労自殺と会社の責任)
論点: 真面目で責任感が強い性格を理由に、賠償を減らしてよいか ― 使用者の注意義務と過失相殺の類推
最高裁 平成12年3月24日判決(民集54巻3号1155頁)
入社1年5か月の新入社員が、恒常的な長時間労働の末に亡くなりました。判決が認定した申告残業は多い月で85時間、午前2時以降の退勤は月12回・うち徹夜8回。上司は徹夜と健康の悪化を知りながら「帰って寝ろ」と指導したのみで、業務量を調整しませんでした。最高裁は、使用者は「業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務」を負うとして会社の責任を認め、本人の性格と両親の落ち度を理由に3割を減額した二審を、いずれも法令の解釈適用を誤った違法があるとして破棄しました。※過労と自死に関わる裁判を扱います。つらいときは厚生労働省「こころの耳」などの相談窓口へ。
- 電通事件
- 過労自殺
- 安全配慮義務
- 使用者責任
- 民法715条
- 過失相殺
- 心因的要因
- 労働契約法5条












