
第48話 相続放棄の熟慮期間の起算点(あとで親の借金を知ったとき)
論点: 承認か放棄かを決める3か月はいつから数えるか ― 相続財産が全く存在しないと信じた場合の例外
最高裁 第二小法廷 昭和59年4月27日判決(昭和57年(オ)第82号・民集38巻6号698頁)
父が亡くなって約1年後、子どもたちのもとに裁判所から届いたのは、父あての一審判決でした。父は家族と行き来が途絶えたあとに1,000万円の債務の連帯保証人になっており、生活保護を受けて一人で暮らしていました。債権者は「死亡を知ってから3か月を過ぎている」として相続放棄は無効だと争います。最高裁第二小法廷は、相続財産が全く存在しないと信じ、被相続人の生活歴や交際状態から財産の調査を期待することが著しく困難でそう信じたことに相当な理由があるときは、承認か放棄かを決める3か月(熟慮期間)は「相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時」から数えるとして、放棄を有効としました(5人のうち1人は反対意見)。この回では民法896条・915条・921条を条文の順にたどります。
- 熟慮期間
- 相続放棄
- 民法915条
- 民法921条
- 民法896条
- 法定単純承認
- 起算点
- 限定承認
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