人生設計シートのテンプレート — 9項目を1枚に書く順番(紙とペンで40分)
<!-- intent: 人生設計の雛形(枠)と書く順番が欲しい人が、お金の収支表ではなく「何のために生きるか」の側を1枚書き切りたい | satisfied: 9項目の枠・書く順番・各欄の記入例・書けないときの言い換え・見直し周期まで揃い、紙1枚が埋まり終わって「人生設計シート 書き方 例」を再検索しなくてよい状態 | excluded: 収入・支出・貯蓄・住宅費のライフプラン表(お金の計画は別の道具で、目的の欄を1行も埋めないため) / 著名人が高校時代に書いた人生設計シートなどの実例紹介(読んで感心するだけで、自分の9項目が1つも決まらないため) -->

人生設計シートのテンプレートは、9項目を1枚に収める形が最短です。項目は、ミッション・価値観・1年後の日常・未来を大きく描く欄・生きがい・ライフタスク・避けたいこと・理想のライフスタイル・「同じ人生をもう一度繰り返したいか」の9つ。このうち先に書くのは最初の3つだけで、残り6つは空欄のまま置いて構いません。
検索すると出てくる「人生設計シート」の多くは、収入・支出・住宅費を並べたお金の表か、おしゃれな枠だけのひな形です。この記事では枠そのものを本文に載せ、書く順番・各欄の記入例・書けないときの言い換え・見直しの周期までを、紙とペンで40分で終わる形にまとめます。アプリは使わなくても完結します。
人生設計シートのテンプレート — この9項目を1枚に写す
テンプレートは下の表そのものです。紙に9つの枠を描くか、この表をそのまま写して、右の列に1行ずつ書き込んでください。
| # | 欄 | 書くこと | 分量の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | ミッション | 人生で果たしたい役割を一文で | 1行 |
| 2 | 価値観 | 迷ったときの判断の基準になる言葉 | 3つ以上 |
| 3 | 1年後の日常 | 来年の平日が、どう過ぎているか | 2〜3行 |
| 4 | 未来を大きく(3〜30年) | 届かない大きさで置いておく | 1〜2行 |
| 5 | 生きがい | 好き / 得意 / 求められる / 稼げる | 各1行 |
| 6 | ライフタスク | 仕事・愛・友情、それぞれの今の課題 | 各1行 |
| 7 | 避けたいこと | やらないと決めたことに名前をつける | 1つ以上 |
| 8 | 理想のライフスタイル | 1日の過ごし方・住む場所・会う人 | 3行 |
| 9 | 同じ人生をもう一度か | 「繰り返したいか」への今の答え | 1行 |

逆に、この1枚に書かない欄も決めておきます。収入・支出・貯蓄・住宅費・教育費は、ここには入れません。お金の計画は数字の表という別の道具が向いていて、同じ紙に混ぜると「いくら足りないか」の話に引きずられて、1番と2番の欄が埋まらなくなります。
書く順番は、ミッション→価値観→1年後の3つが先です
書く順番は決まっています。1番・2番・3番の3つを先に書き、残りの6つは後から足すのが崩れにくい順番です。
- 1番「ミッション」— 人生で果たしたい役割を一文で書く。格好よさより、自分が読んで嘘がないことを優先する
- 2番「価値観」— 判断に迷ったときに頼る言葉を3つ以上。過去に腹が立った出来事を思い出すと見つかる
- 3番「1年後の日常」— 来年の平日が朝から夜までどう過ぎているかを、場面で書く
- ここで一度手を止める。3つ埋まったら、その日はもう終わってよい
- 翌日以降、4〜9番を埋められる欄から埋める。順番は問わない
- 7番「避けたいこと」だけは必ず1つ書く。これが他の欄を守る枠になる
4番から9番を同じ日に埋めようとすると、たいてい3番までの内容が薄まります。先に大きな未来を書くと、1年後の欄がその縮小版になってしまうためです。3つで止めるのは、途中で投げないための設計でもあります。
なぜ「書く」だけで効くのか — 大学生85人の無作為比較
書く作業そのものに効果があることは、無作為に割り当てた比較試験で確かめられています。頭の中で考えるのと紙に書くのでは、4か月後の結果が変わりました。
モリサーノらは、成績が低迷していた大学生85人を無作為に2つの群に分け、一方にだけ「理想の未来を書く → 具体的な目標に落とす → 障害と対策を書く」という書く作業をさせました。4か月後、書いた群の成績(GPA)は対照群より有意に高く、途中で放棄する科目数も少なくなっていました。
出典: Morisano, D., Hirsh, J. B., Peterson, J. B., Pihl, R. O., & Shore, B. M. (2010). "Setting, elaborating, and reflecting on personal goals improves academic performance." Journal of Applied Psychology, 95(2), 255–264. doi:10.1037/a0018478(新しいタブで開く)
参加者がやったのは、理想の未来を自由に書いてから具体化する手順でした。9項目のシートが「未来を大きく描く欄」と「1年後の日常」を同じ紙に並べているのは、この順番をなぞるためです。
2番の価値観を先に置いているのにも理由があります。自分の価値観と一致した目標(自己一致目標)を追う人のほうが努力が続きやすいことは、別の縦断研究が示しています(Sheldon & Elliot, 1999(新しいタブで開く))。1番が世間の正解に寄ってしまったとき、2番の欄が引き戻す役をします。
孫子は「数えた項目が多い側が勝つ」と書いています
項目を9つに増やしているのは、記入欄を豪華にするためではありません。戦う前に数える項目の数そのものが勝負を分けるという、2500年前からある考え方に沿っています。
出典は『孫子』十三篇のうち第一篇、計篇です。
夫未戦而廟算勝者、得算多也。未戦而廟算不勝者、得算少也。多算勝少算、而況於無算乎。
読み下すと、こうなります。
夫れ未だ戦わずして廟算して勝つ者は、算を得ること多きなり。未だ戦わずして廟算して勝たざる者は、算を得ること少なきなり。多算は少算に勝つ、而るを況んや算無きに於いてをや。
現代語訳は「戦う前の計算で勝てると出る者は、数え上げた条件が多い。勝てないと出る者は、数えた条件が少ない。多く数えた側が少なく数えた側に勝つのだから、まったく数えない者は言うまでもない」です(底本: 金谷治 訳注『新訂 孫子』岩波文庫、2000年改版 — 国立国会図書館サーチ(新しいタブで開く))。廟算(びょうさん)とは、出陣の前に祖先を祀る廟で作戦の見込みを計算することです。
孫子が勝敗の分かれ目に置いているのは、兵の強さではなく事前に数えた項目の多さです。ミッションだけを書いた1枚と、避けたいこと・ライフタスク・理想の1日まで数えた1枚では、後者のほうが迷ったときに使える材料が多い。項目を9つにしているのは、この「算を得ること多きなり」を紙の上で再現するためです。
9項目の記入例 — 1行ずつでいい
記入例は、文章ではなく1行で足ります。長く書くほど良いシートになるわけではなく、後から読み返して意味が分かることだけが条件です。
| 欄 | よくある書き方(弱い) | 1行で足りる書き方 |
|---|---|---|
| ミッション | 社会に貢献したい | 専門知識が無い人が自分で判断できる状態をつくる |
| 価値観 | 誠実・努力・成長 | 嘘をつかない / 遅れても自分で決める / 独りにしない |
| 1年後の日常 | スキルアップしている | 平日の朝1時間を自分の仕事に使い、週1回は人に教えている |
| 未来を大きく | 幸せに暮らす | 30年後、住む場所と仕事を自分の都合で選べている |
| 生きがい | 人の役に立つこと | 好き=仕組みを作る / 得意=要点をまとめる / 求められる=代わりに調べる / 稼げる=書く |
| ライフタスク | 仕事を頑張る | 仕事=任せ方を覚える / 愛=週末に2時間空ける / 友情=年2回は自分から誘う |
| 避けたいこと | 無駄な時間 | 気が乗らない飲み会 / 条件を聞かずに引き受けること |
| 理想のライフスタイル | 自由な生活 | 7時起き / 徒歩で行ける場所に住む / 月1回は初対面の人に会う |
| 同じ人生をもう一度か | わからない | 今は「もう一度は嫌だ」。嫌な理由は平日の使い方 |
左の列が悪いわけではありません。ただ、左の書き方だけだと半年後に読み返しても判断材料にならず、結果として1枚を見返さなくなります。固有名詞・曜日・時間が1つでも入っていれば十分です。
書けない項目は、質問を言い換えて飛ばします
書けない欄は飛ばして構いません。それでも埋めたいときは、問いを言い換えると出てくることがあります。
| 書けない欄 | 言い換えの質問 |
|---|---|
| ミッション | 自分が見ていて一番腹が立つ状況は何か。それが無くなった世界はどんな形か |
| 価値観 | 直近1年で、我慢して後悔した場面を3つ挙げるとどれか |
| 1年後の日常 | 来年の同じ日、何が変わっていたら「悪くない1年だった」と言えるか |
| 未来を大きく | お金と時間の制約が無いなら、誰と何をしているか |
| 生きがい | 頼まれごとのうち、報酬が無くても引き受けるものはどれか |
| ライフタスク | 仕事・愛・友情のうち、いま一番ごまかしている領域はどれか |
| 避けたいこと | 去年のうち、思い出すと時間が惜しい予定は何か |
| 理想のライフスタイル | 最近「この1日は良かった」と思えた日を1つ、朝から順に書く |
| 同じ人生をもう一度か | もう一度やるとしたら、どこから変えたいか |
9つ全部が埋まっていなくても、このシートは使えます。空欄は「まだ答えが無い」という情報であり、次に考える場所の印でもあります。
紙のシートと、置き場所を決めたときの違い
紙で書くこと自体に不利はありません。差が出るのは、書いた後にその1枚を何回見返せるかという点です。
紙に書いただけ
- 書いた翌週には、どこに置いたか思い出せない
- 1年後の欄と今日やることが別の紙にある
- 書き直すと前の版が消える
- 見直す日を自分で覚えておく必要がある
置き場所を固定した後
- 開く場所が1つなので、迷わず戻れる
- 1年後の欄から今日の一手まで、同じ場所で続く
- 前に何と書いていたかが残り、変化が見える
- 最終更新から30日で、見直しの合図が出る
紙の弱点は内容ではなく、動線です。書き写す手間と置き場所の問題だけが残るので、まずは紙で1枚書き切り、続けたくなってから置き場所を考える順番で構いません。
見直しは30日ごと、書き直す前提で置いておく
見直しの周期は30日を目安にします。1年に1回だと内容を忘れ、毎週だと書き直すこと自体が作業になるためです。
見直しでやることは1つだけです。3番の「1年後の日常」を今の自分の目で読み、違和感があれば書き換える。1番と2番はそう頻繁には変わりませんが、3番は半年で現実と合わなくなります。書き換えた回数は、設計が失敗した証拠ではなく、使っている証拠です。
目的そのものをもう一度決め直したいときの手順は人生の目的の見つけ方 — 探さず設計する3ステップに、1年後の欄から今日の一手まで降ろす手順は人生の目標の立て方テンプレート — 目的→1年→今月→今日の4層分解に書いてあります。この9項目のシートは、その2本の前段にあたる1枚です。
先勝(Sensho)ではこうなる
この9項目をそのまま画面にしたのが、私たち JurisCode.AI の成長アプリ 先勝(Sensho)(sensho.juriscodeai.com(新しいタブで開く))です。無料・広告なしのベータとして公開しています。
先勝では「軍略」という1枚のシートに、この9つの欄が同じ並びで載っています。先に書く3つが埋まると達成度が表示され、空欄のうち次に書くとよい欄が1つ示されます。最終更新から30日が過ぎると「軍略を見つめ直す」合図が出るので、見直しの日を自分で覚えておかなくてよくなります。名前は孫子の軍形篇から取りました。
ただし、この記事の手順は紙だけで完結します。アプリがやっているのは、9つの欄の置き場所を固定し、見返す回数を増やすことだけです。人生設計と目標設定の記事は人生設計の棚にまとめています。
よくある質問
人生設計シートを書くときに迷いやすい点を、4つに分けて答えます。
Q. 9項目は多すぎて、かえって続かないのではないですか
A. 同じ心配から、先に書くのは3項目だけにしてあります。1番・2番・3番で1枚は成立し、4番以降は空欄のままでも使えます。9つ用意してあるのは全部埋めさせるためではなく、後から「この欄は書ける」と気づいたときに置き場所がある状態にしておくためです。
Q. お金のライフプラン表のほうが実用的ではないですか
A. 用途が違うので、両方あってよいものです。ライフプラン表は「いくら必要か」を計算する道具で、このシートは「何のために必要か」を決める道具です。ただし同じ紙に混ぜると、数字の見通しに引きずられて1番と2番が埋まらなくなります。このシートを先に書いてから金額の表に進むほうが、削る判断がしやすくなります。
Q. 1枚に書いた内容が、半年で変わってしまいました。意味がなかったのでしょうか
A. 変わるのは想定どおりで、むしろ使えていた証拠です。このシートは正解の記録ではなく、今の自分の仮説として扱います。3番の「1年後の日常」が変わるのは自然な更新ですが、1番のミッションが短期間に何度も変わる場合は、2番の価値観が他人の基準で書かれている可能性があります。
Q. 書いたシートは、どこに置いておくのがいいですか
A. 月に1回は開く場所に置くのが基準です。手帳の最初のページ、机の正面、スマートフォンの最初の画面など、探さずに目に入る場所であれば紙でも画面でも構いません。引き出しに入れた1枚は、内容が良くても見返されないまま終わります。
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出典
- Morisano, D., Hirsh, J. B., Peterson, J. B., Pihl, R. O., & Shore, B. M. (2010). Setting, elaborating, and reflecting on personal goals improves academic performance. Journal of Applied Psychology, 95(2), 255–264. doi:10.1037/a0018478(新しいタブで開く)
- Sheldon, K. M., & Elliot, A. J. (1999). Goal striving, need satisfaction, and longitudinal well-being: The self-concordance model. Journal of Personality and Social Psychology, 76(3), 482–497. doi:10.1037/0022-3514.76.3.482(新しいタブで開く)
- 金谷治 訳注『新訂 孫子』岩波文庫、2000年改版(計篇) — 国立国会図書館サーチ(新しいタブで開く)
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