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人生設計読了 約11分

人生戦略の立て方 — 会社の戦略フレームを個人に翻訳する3枚のシート

<!-- intent: 目標は毎年立てているのに年末に何も残らない人が、会社の戦略づくりの考え方を個人用に翻訳して「何をやらないか」まで決め切る手順を知りたい | satisfied: 目的・資源・制約の3枚を書き終え、やること3本とやらないこと3本を名指しし、1年→四半期→今週の1件まで落ちていて、「人生設計 シート」「戦略 フレームワーク 個人」を再検索しなくてよい状態 | excluded: SWOT・3C・PESTなど経営フレームの用語解説(用語が増えるだけで自分の紙が1行も埋まらないため) / 著名人の人生戦略の事例や書籍の紹介(他人の答えを読む行為で、自分の資源と制約が1つも分からないため) -->

やらないことを先に決める — 人生戦略の立て方 — 目的・資源・制約の3枚

人生戦略の立て方とは、やることを増やす作業ではありません。目的・資源・制約の3枚を書き、その交差点に残ったものを「やること3本」、あふれたものを「やらないこと3本」として名指しする——これが中身です。 会社の戦略づくりと同じ順番ですが、個人に持ち込むときは捨てる部分があります。

目標を毎年立てているのに年末に何も残っていないなら、原因は意志ではなく、降ろす先を決めないまま全部を抱えていることであることが多いです。心理学の研究でも、互いにぶつかる目標は「考える回数は増えるのに、行動する回数は減る」と報告されています。

この記事では、戦略という言葉の定義を、ポーターの論文と孫子の原文という2つの一次資料で押さえます。そのうえで、紙3枚・45分で書ける手順と、そこから1年・四半期・今週へ降ろす方法までを書きます。アプリは使わなくても最後まで進められます。

人生戦略の立て方は、「やらないこと」を決める作業です

戦略とは、やることの一覧ではなく、やらないことを決めることです。経営学者のマイケル・ポーターは1996年の論文「What Is Strategy?」で、戦略の本質は「何をしないかを選ぶこと」にあると書きました(出典: Porter, M. E. (1996). What Is Strategy? *Harvard Business Review*(新しいタブで開く))。

この定義が個人にとって重要なのは、人生の計画が失敗する形がだいたい同じだからです。年始に「英語」「資格」「筋トレ」「副業」「貯金」と並べ、どれも少しずつ手をつけ、3月には全部が止まっている——この形です。

目的・資源・制約の3枚から、やること3本とやらないこと3本を決め、1年→四半期→今週へ降ろす流れの図
人生戦略の3枚 — 目的・資源・制約から「やらないこと」を決める

止まる理由は単純です。5つを並べた時点で、自分の1日の時間という資源には収まっていません。戦略とは、収まる量まで減らす判断のことで、人生戦略の立て方の核心もここにあります。

会社の戦略フレームを、そのまま個人に持ち込まない

会社の戦略づくりには、個人に輸入してよい部分とよくない部分があります。輸入してよいのは「目的・資源・制約から打ち手を絞る」という骨格で、輸入すると壊れるのは分析の分量と報告の作法です。

企業の戦略立案は、市場調査や競合分析に数か月をかけます。個人がこれを真似ると、紙を埋めること自体が目的になり、肝心の判断に進めません。こちらに用意されているのは、休日の数時間だけだからです。

会社の戦略づくり(そのまま真似ると止まる)

  • 市場・競合・自社を数か月かけて分析する
  • フレームの用語を揃え、資料として清書する
  • 選ばなかった選択肢は資料から消える
  • 年度計画として承認され、評価に使われる
  • 成果は売上や利益で測る

人生戦略(個人に翻訳した形)

  • 目的・資源・制約の3枚を45分で書く
  • 手書きのまま。読むのは自分1人だけ
  • 「やらないこと」として紙に名前を残す
  • 仮説として置き、四半期ごとに自分で入れ替える
  • 成果は「今週の1件が実行できたか」で測る

特に大事なのが3行目です。会社の資料では選ばれなかった案は消えますが、個人の頭の中では消えません。消えないまま残り続けるので、名前を書いて明示的に降ろす欄が要ります。

なぜ「全部やる」と、かえって進まないのですか

互いにぶつかる目標を同時に抱えると、行動量そのものが落ちるからです。これは気合の問題ではなく、研究で繰り返し確認されている現象です。

心理学者のロバート・エモンズとローラ・キングは1988年、人が日々追いかけている個人的な目標(パーソナル・ストライビング)どうしの衝突を測り、その影響を追跡した研究を発表しました。報告された結果のうち、計画を立てる人にとって一番効くのは次の一点です——衝突の大きい目標は、考える回数が多いのに、実際に行動する回数は少ない。

出典: Emmons, R. A., & King, L. A. (1988). "Conflict among personal strivings: Immediate and long-term implications for psychological and physical well-being." Journal of Personality and Social Psychology, 54(6), 1040–1048. doi:10.1037/0022-3514.54.6.1040(新しいタブで開く)(PubMed(新しいタブで開く))

同研究では、衝突や迷い(アンビバレンス)の大きさが、否定的な感情や身体的な不調とも結びついていたことが報告されています。つまり「全部やる」は、進まないうえに消耗します。

ここから導かれる実務上の結論は1つです。目標を増やす前に、どれとどれがぶつかっているかを紙の上で見える形にして、片方を降ろすこと。人生戦略の立て方が「やらないことを決める作業」になるのは、このためです。

孫子は「全部を守ると、全部が手薄になる」と書いています

同じことを、孫子は2500年前に軍の配置の話として書いています。出典は『孫子』十三篇のうち第六篇、虚実篇です。

故備前則後寡、備後則前寡、備左則右寡、備右則左寡、無所不備、則無所不寡。

読み下すと、こうなります。

故に前に備うれば則ち後寡く、後に備うれば則ち前寡く、左に備うれば則ち右寡く、右に備うれば則ち左寡し。備えざる所無ければ、則ち寡なからざる所無し。

現代語訳は「前方を固めれば後方が手薄になり、後方を固めれば前方が手薄になる。左を固めれば右が、右を固めれば左が手薄になる。備えない場所が無いということは、手薄でない場所が無いということだ」です(底本: 金谷治 訳注『新訂 孫子』岩波文庫、2000年改版 — 国立国会図書館サーチ(新しいタブで開く))。

孫子がここで言っているのは、兵力という資源が有限である以上、守る場所を選ばないことは、守らないことと同じだということです。持ち時間という兵力を5つの目標に均等に配れば、5つとも手薄になります。ポーターと孫子は、「選ばない判断そのものが戦略だ」という点で一致しています。

3枚のシートの書き方(紙とペンで45分)

書く順番は、目的→資源→制約です。この順番でないと、制約を見た瞬間に目的が小さくまとまってしまいます。

人生戦略の3枚を書く手順
  1. 1枚目「目的」— どこへ向かうのかを1文で書く。場面が思い浮かぶ言葉にする
  2. 2枚目「資源」— 平日と休日の自由時間、使えるお金、すでに持っている技能、相談できる人を数字で書き出す
  3. 3枚目「制約」— 動かせない条件を書く。仕事・家族・健康・絶対に削らないもの
  4. 3枚を並べ、目的に効く候補を10個ほど挙げる
  5. 資源に収まり、制約に触れない候補だけを残し、「やること3本」に絞る
  6. 残った候補を「やらないこと3本」として名前を書き、今年は扱わないと決める

1枚目「目的」— 1文で、場面が見える形に

目的は抽象的な価値観ではなく、未来のある場面が思い浮かぶ1文で書きます。「成長したい」ではなく「3年後、初対面の相手に自分の仕事を30秒で説明できて、相手が興味を持つ状態でいたい」のような形です。

場面が見えると、次の2枚の判断がしやすくなります。目的がまだ決まっていない場合は、候補の選び方を人生の目標の立て方 — 4つの理由で採点して選ぶに書いてあります。

2枚目「資源」— 気持ちではなく、数字で書く

資源の欄には、使える時間とお金を実際の数字で書きます。「平日は夜に1日40分、土日は合わせて4時間、学習に回せるお金は月5,000円」のように、増やしたい願望ではなく先月の実績を書くのがコツです。

ここを願望で書くと、3枚全体が机上の空論になります。自分の持ち札を5つの観点で棚卸ししたい場合は、孫子の「五事」で自己分析するの採点表が使えます。

3枚目「制約」— 守るものを先に決める

制約の欄には、何があっても削らないものを書きます。睡眠時間、家族と過ごす曜日、通院、仕事の繁忙期——こうした「動かせない枠」を先に置くと、後から計画がそこを侵食しなくなります。

孫子の言い方に戻れば、ここが「必ず守る場所」です。守る場所を先に決めるからこそ、残りの兵力をどこへ集めるかが決まります。

交差点に残ったものが「やること3本」

3枚が揃ったら、目的に効く候補を10個ほど挙げ、資源に収まり制約に触れないものだけを残します。残ったものが今年のやること、あふれたものがやらないことです。

やらないことには、必ず紙の上に名前を書いてください。頭の中で保留にすると、エモンズとキングが測った「考える回数は多いが行動しない目標」として残り続けます。

3枚から年間計画に落とす — 1年→四半期→今週

3枚を書いただけでは動きません。やること3本を、1年の到達点・今四半期の一手・今週の1件の3段に降ろして、はじめて計画になります。

段書く内容書き方の目安
1年の到達点達成できたかが誰にでも分かる状態「読めるようになる」ではなく「英語の会議で2回発言する」
今四半期の一手3か月で片がつく単位1本の目標につき1件だけ
今週の1件いつ・どこで・何をするか曜日と時刻と場所まで書く

3本すべてを毎週動かす必要はありません。四半期ごとに主役を1本決め、残り2本は維持でよいと割り切るほうが、資源の配り方としては孫子の言う形に近くなります。

この降ろし方を目的から今日まで4層でたどった記事が目標の立て方テンプレート — 目的→1年→今月→今日の4層分解です。この記事の3枚は、その「目的」の層を決めるための前工程にあたります。

先勝(Sensho)ではこうなる

この3枚をそのまま画面にしたのが、私たち JurisCode.AI の成長アプリ 先勝(Sensho)(sensho.juriscodeai.com(新しいタブで開く))です。無料・広告なしのベータとして公開しています。

先勝では「軍略」という1枚のシートに、目的と1年後の到達点を書く欄が並びます。そこから今日の一手までが分解されるので、紙でやったときに毎回発生する書き写す手間が無くなるのが実際の差です。やったことは連続記録とヒートマップに埋まり、段位という形で積み上がりが見えます。名前は孫子の軍形篇から取りました。

ただし、この記事の手順は紙だけで完結します。アプリは3枚の置き場所を固定し、見返す回数を増やすための道具です。人生設計と目標設定の記事は人生設計の棚にまとめています。

よくある質問

Q. 「やらないこと」を決めるのは、可能性を狭めるだけではありませんか

狭めるのは今年の行動範囲だけで、候補そのものは消しません。紙に「来年の候補」として名前を残すのが、この手順の要点です。ポーターの論文も孫子の虚実篇も、述べているのは「選ばなければ全部が手薄になる」という資源配分の話で、可能性を否定してはいません。

Q. 3本は少なすぎませんか。もっと抱えられる気がします

抱えられるかどうかは、2枚目の資源の数字が決めます。平日に1日40分しか取れないなら、3本でも多いことがあります。本数の正解は人によって違うので、3本は上限の目安として使い、四半期の終わりに全部が止まっていたら翌期は2本に減らしてください。

Q. 戦略と目標は、どう違うのですか

目標は「どこへ行くか」、戦略は「限られた資源をどこへ寄せ、どこを捨てるか」です。目標だけだと、全部に少しずつ手を出す配り方になります。人生戦略の立て方で3枚を書くのは、目標の手前にある資源配分の判断を、先に紙の上で済ませてしまうためです。

Q. 目的が1文で書けません。先に進んでもいいですか

資源と制約の2枚を先に書いてしまって構いません。2枚が埋まると「この条件で自分は何をしたいのか」を具体的に考えやすくなります。それでも出てこない場合は、目標の前に価値観を決める手順を人生の目標が思いつかない時の決め方に書いています。

Q. 書いた3枚は、どのくらいの頻度で見直すべきですか

四半期に1回の読み返しと、週に1回・10分の確認をおすすめします。3枚そのものは3か月もたせ、週次では「今週の1件」が実行できたかだけを見ます。毎週書き直すと、書くこと自体が作業になり、実行が後回しになります。

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出典

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#人生設計#目標設定#孫子の兵法#先勝

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