会計事務所のAI活用。使う業務と使わない業務の線と、仕組みにする費用
<!-- intent: 会計事務所でAIに任せてよい業務とだめな業務の線を引き、任せる側を仕組みにするときの費用と期間まで知りたい | satisfied: 業務ごとの「任せる/任せない」の2列と判定の3基準、税理士法との線、金額(無料30分→¥20,000→1業務¥200,000〜)と期間が分かり、次に着手する1業務を名前で言える | excluded: AIツールの製品別の機能・料金プランの一覧、記帳と仕訳のAI-OCR自動化そのものの操作手順 -->

会計事務所のAI活用でいちばん先に決めるのは、導入するツールではなく、使う業務と使わない業務の線です。任せてよいのは、資料の回収と催促、問い合わせの一次対応、面談の記録、期日と案件の台帳といった事務の下書きまでです。税務の判断、申告書や官公署に出す書類の作成、提出は、線の外に置きます。
この線の内側を仕組みにする費用は、1業務 ¥200,000〜(税込)です。期間は軽い業務で2〜3週、標準の業務で4〜6週が目安で、金額は無料の簡易ヒアリング(30分)と業務診断(¥20,000・120分+設計書)で確かめてから決められます。
会計事務所のAIは、何に使えて、何に使わないのですか
業務ごとに「仕組みが作る部分」と「人が決める部分」を分けると、線は1枚の表になります。ツールを選ぶ前にこの表を作ると、事務所の中で話が噛み合うようになります。

| 業務 | 仕組みが作る部分(任せる) | 人が決める部分(任せない) |
|---|---|---|
| 顧問先からの資料回収 | 必要な資料と期限の台帳、未着の先だけに催促文の下書き | 送信、顧問先への説明 |
| 問い合わせの一次対応 | 要点の整理、想定の回答と候補日の下書き | 回答の確定、返信 |
| 面談の記録 | 録音から記録・決まったこと・宿題・お礼文の下書き | 内容の確認、顧問先への助言 |
| 期日と案件の管理 | 今日の仕事の一覧、止まっている案件の通知 | 優先順位の判断、連絡 |
| 紙・PDFの転記 | 読み取り、項目分け、台帳への投入、要確認の印 | 要確認の箇所の確認 |
| 記帳・仕訳 | お使いの会計ソフトの機能の範囲 | 勘定科目と税務処理の決定 |
| 申告書・届出書 | 行いません | 作成・確認・提出のすべて |
| 税務の相談への回答 | 行いません | 税理士の先生が行います |
右の列を左に寄せないことが、この表のいちばん大事な点です。当スタジオが納めるのは事務の仕組みまでで、税務・法律・手続の判断や書類の作成には触れません。
任せてよいかを決める3つの基準は何ですか
線を引く基準は3つです。くり返しの回数・入口の数・判断の量で見ます。この3つで測ると、事務所ごとに答えが変わっても、決め方は変わりません。
- 月に何時間かを数える — 週1回30分の作業は月2時間です。月10時間を超える作業から先に見ます
- 入口がいくつあるかを数える — メール・フォーム・電話メモ・郵送のどこから来るか。入口1つの作業が最も軽く済みます
- 判断がどこにあるかを書く — 誰が何を決めているかを1行で書き、決める場所を人の側に残せるなら任せられます
- 残った候補を1つに絞る — 担当の方が「いちばん無くしたい」と言う作業を選びます
判断が作業の途中に何度も挟まる業務は、任せる側に入れません。逆に、催促・転記・一覧づくりのように判断が最後に1回だけの業務は、下書きまでを仕組みが用意し、最後に人が見る形にできます。
使う側の業務は、実際に何が変わりますか
変わるのは作業の速さではなく、待ちと探しが消えることです。3つの例で見ます。
資料の回収と催促では、必要な資料と期限を台帳で持ち、未着の顧問先だけに催促の下書きが並びます。届いたら台帳が更新され、誰が何を待っているかが一覧で見えます。送信は所員の方が行います。
問い合わせの一次対応では、メール・フォーム・電話メモを1か所に集め、要点と想定の回答、候補日、提案の下書きまでを仕組みが用意します。担当の方が開いた時点で、返す準備ができている状態になります。
期日と案件の管理では、顧客・案件・期限・担当を1つの台帳にまとめ、毎朝その日の仕事と止まっている案件を更新します。期日の計算そのものはAIに任せず、決まった処理で作ります。間違えてはいけない部分に、間違える道具を置かないためです。
事例の詳しい中身は税理士事務所のAI活用事例の記事にまとめています。
使わない側は、なぜ使わないのですか
税理士法が独占業務として定めている領域だからです。税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士の先生の業務で、当スタジオが肩代わりする対象ではありません。
そのため、仕組みの出力は下書き・候補・通知・一覧までに統一し、顧問先へ直接判断を返すこともしません。設計の言い方にすると、決めるのはプログラム(AIを使わない決まった処理)、AIは中身だけ、送るのは人、という並びです。
この線は着手の前に1枚の書面にして、事務所と当スタジオの両方が同じものを持つようにしています。
情報漏えいが不安です。設定で何が変わりますか
変わるのは「どこに置くか」と「何を入れるか」の2点です。MJS の会計事務所白書2026(事務所212)では、生成AIの利用経験が75%(2024年は39%)に伸びた一方で、使用ルールが未整備の事務所が70%、最大の不安は「機密情報の漏洩」で55%でした(MJS 会計事務所白書2026(新しいタブで開く))。
置き場については、仕組みもデータも貴事務所名義のアカウントの中に作ります。入力した内容がAIの学習に使われない設定・契約の範囲で使い(いわゆるオプトアウトの設定)、環境は事務所ごとに分けます。
入れる情報については、入れてよい情報・だめな情報を先に1枚にまとめ、顧問先の名前を入れなくても回る作業から始めます。事務所のルールとして書くなら、道具と設定→入力の線引き→出力の確認→記録の残し方→事故が起きた時の手順、の順に並べると1枚に収まります。
なお、ルールを決めていない状態は会計事務所に限った話ではありません。IPA の調査(n=1,000)でも、AI利用に脅威を感じる人が60.4%いる一方、ルールを策定済みの組織は20%未満でした(IPA AI利用時のセキュリティ脅威調査 2024-07(新しいタブで開く))。
数字で見ると、会計事務所はいまどこにいますか
「使っている人は多いが、事務所として決めていない」段階です。個人の判断で使われている状態から、事務所の仕組みへ移すところに空白があります。
中小機構の実態調査(n=1,647)では、AIの導入率は20.4%、検討中が18.6%で、目的は「業務効率化・時間短縮」が87.0%でした。足りない情報として最も多かったのは「成功事例・活用事例」で83.3%です(中小機構 AI等利活用実態調査 2026-03(新しいタブで開く))。
つまり、道具の情報は足りていて、自分の業務のどれに当てはめるかの情報が足りていないということです。線引きの表を先に作るのは、この空白を埋めるためです。
費用と期間はいくらですか
金額は業務の重さで決まります。段は4つで、入口は無料です。
| 段 | 内容 | 金額(税込) | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 簡易ヒアリング | 30分・オンライン。自動化する業務を1つ決めます | 無料 | 30分 |
| 業務診断 | 120分+設計書(流れ図・作業量の試算・重さ・範囲・お見積り) | ¥20,000 | 1週間 |
| 実装(軽い業務) | 入口1つ→出力1つ。資料の回収と催促、面談の記録など | ¥200,000〜 | 2〜3週 |
| 実装(標準の業務) | 入口が複数。台帳を持つ。問い合わせ→提案の下書きなど | ¥350,000〜 | 4〜6週 |
| 実装(重い業務) | 毎朝の無人運用。社内資料に聞けば答える | ¥600,000〜 | 6〜10週 |
| 運用・改善(任意) | 稼働の確認、月1回の改善、作業の追加 | 月¥33,000〜 | 月単位で停止できます |
業務診断の¥20,000は、実装に進む場合に全額を実装費へ充当します。設計書は貴事務所のもので、当スタジオに頼まず社内や他社で進めていただいても構いません。¥200,000未満の実装はお引き受けしていません。月次AI顧問(月¥30,000)は、相談と最新情報の窓口として別にあります。
他社の公開価格と並べると、次のあたりです。
| 提供者 | 初期・診断 | 構築(1業務) | 月額 |
|---|---|---|---|
| DeC 士業AI(新しいタブで開く) | 無料30分 | ¥150,000(税込)・1業務10営業日 | ¥30,000〜¥80,000 |
| campnet(新しいタブで開く) | 研修5〜30万円 | 業務自動化 20〜100万円 | AI顧問 ¥30,000〜 |
| itdoor(新しいタブで開く) | お試し¥5,000〜 | 単一¥30,000〜/複数連携¥150,000〜 | ¥16,500〜 |
| ai株式会社(相場)(新しいタブで開く) | スポット1〜5万円/回 | プロジェクト 30〜150万円 | 5〜30万円 |
| 当スタジオ | 無料30分 → 診断¥20,000 | ¥200,000〜(重さで3段) | 運用・改善 月¥33,000〜 |
相場の帯の中では下位から中位です。差が出るのは金額より、設計書が先に残ることと、納品物(動く仕組み・運用手順書・操作の解説動画)が貴事務所名義のアカウントに入ることです。中小企業全般の費用の考え方はAI業務自動化の費用の記事にまとめています。
どういう順番で進めますか
順番を変えないことが、止まらない条件です。情報の置き場が割れたまま自動化すると、食い違いが増えるだけになります。
- 0週 簡易ヒアリング(無料・30分) — 自動化する業務を1つ決め、費用の目安を口頭でお伝えします
- 1週 業務診断(¥20,000・120分) — 実際の画面で作業を見せていただき、3営業日を目安に設計書とお見積りをお渡しします
- 2〜3週 正本づくり — 顧客・案件・期限・担当の置き場を1つに決め、手順を言語化します
- 4〜5週 動かして測る — 実際のデータで試運転し、減った時間を一緒に測ります
- 6週 引き継ぎ — 担当の方へ60分。当スタジオなしで動く形にしてお渡しします
設計書をご覧いただいた時点で実装に進まずに終えることも、1業務を作ったあとにそこで止めることもできます。
当方の実績の例では、見積・請求の自動作成で作業時間80%減、企画提案の生成で立案時間70%減、評価コメントの下書きで作業時間60%以上減という結果が出ています。当方実績の例です。効果は業務と体制により異なります。
よくある質問
Q. 顧問先の情報をAIに入れても大丈夫ですか?
貴事務所名義のアカウントの中だけで扱い、入力した内容がAIの学習に使われない設定・契約の範囲で使います。入れてよい情報・だめな情報を先に1枚にまとめ、顧問先の名前を入れなくても回る作業から始めます。データの取り扱い方針と秘密保持契約は、着手の前にお渡しします。
Q. AIは間違えますよね?
間違えます。そのため、判断はAIに任せません。期限の計算や一覧の作成など間違えてはいけない部分はAIを使わない決まった処理で作り、AIに任せるのは下書きと整理までです。AIが書いた内容は元の情報と突き合わせ、確定できなかった点は「要確認」として残します。確定と送信は人が行います。
Q. 記帳はもう会計ソフトのAIで足りているのでは?
いまお使いのソフトは土台としてそのまま使います。対象にするのは、ソフトの外側に残っている作業です。資料の催促、顧問先とのやり取り、期限の通知、面談の記録などに月何時間を使っているかを一緒に数え、少なければ「必要ありません」とお伝えします。
Q. 補助金は使えますか?
個別に設計する仕組みづくりは、「デジタル化・AI導入補助金」(旧 IT導入補助金)の登録ツールに当たらないため、原則として対象になりません。補助金を前提としたご提案はしていません。
Q. 途中でやめたくなったらどうなりますか?
業務診断の設計書をご覧いただいた時点でご納得いただけない場合、実装に進まず終了できます(設計書は貴事務所のものです)。1業務を作ったあと、先に進まずに終えることもできます。運用・改善は任意で、月単位で停止できます。
まず、何から始めればよいですか
まず無料の簡易ヒアリング(30分)で、自動化する業務を1つ決めます。次の業務診断(¥20,000・120分+設計書)で金額を確かめてから、実装(1業務 ¥200,000〜)に進めます。実装に進む場合、診断の費用は全額充当します。
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