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自転車にも「青切符」 ― 反則金の対象になる行為と、ならない行為

自転車で信号無視や一時不停止をしたら、もう「青切符」が来るって本当なの? ― そう聞いて、どこまでが対象になるのか気になった人のための記事です。

自転車にも青切符が来る — 対象になる行為とならない場合を条文から整理します

結論 ― 対象は16歳以上。事故を起こしたり酒気帯びだったりすると、むしろ赤切符になる

なぜそうなるのか ― 道路交通法125条が「反則行為」と「反則者」を定義している

交通反則通告制度の土台になっているのは、道路交通法125条です。1項は、この制度の対象になる「反則行為」を次のように定義しています。

この章において「反則行為」とは、前章の罪に当たる行為のうち別表第二の上欄に掲げるものであつて、車両等の運転者がしたものをいい、その種別は、政令で定める。

(e-Gov法令検索 道路交通法(新しいタブで開く))

ポイントは「その種別は、政令で定める」という委任の部分です。どの違反行為が青切符の対象になり、反則金がいくらになるかは、法律本体ではなく政令(道路交通法施行令)の別表で決まります。自転車を含む軽車両は、もともと施行令の別表第二(自動車・原動機付自転車が対象)には入っておらず、青切符の対象外でした。2026年4月の施行令改正で、軽車両向けの行為・金額を加えた枠が新たに設けられたことで、自転車にも青切符が及ぶようになった、という経緯です。

何が対象になるのか ― 施行令の別表にある金額表

道路交通法施行令の別表第六は、反則行為を「大型車」「普通車」「二輪車」「原付等」の区分ごとに並べています。備考では、この表の「原付等」に軽車両(自転車など)も含むと定められています。

「原付等」とは、小型特殊自動車、原動機付自転車及び軽車両(重被牽引車を除く。)をいう。

(e-Gov法令検索 道路交通法施行令(新しいタブで開く))

この「原付等」欄に並ぶ反則金額の一例が次の表です。

違反行為反則金額(原付等)
信号無視(赤色等)6,000円
指定場所一時不停止等5,000円
踏切不停止等・遮断踏切立入り6,000〜7,000円
携帯電話使用等(保持)12,000円
無灯火、減光等義務違反5,000円
並進禁止違反3,000円
定員外乗車5,000円

ここで意外と知られていないのが、傘を差しての運転やイヤホンで音が聞こえない状態での運転です。これらは別表に個別の項目として載っているわけではありません。道路交通法71条6号は、車両等の運転者に「公安委員会が交通の安全のために定めた事項を守ること」を義務づけており、傘差し運転や音が聞こえない状態でのイヤホン使用は、都道府県ごとの公安委員会規則でこの71条6号の内容として定められています。別表第六では、これらをまとめて「公安委員会遵守事項違反」という一つの項目にしており、原付等の反則金は5,000円です。つまり、何が禁止行為に当たるかの細かい線引きは都道府県ごとに違っても、青切符になったときの金額は全国一律というのが実際の仕組みです。

どんなときに対象外(赤切符)になるのか ― 125条2項の除外規定

青切符の対象になるかどうかは、125条2項の「反則者」の定義でも絞られています。2項は「反則行為をした者であつて、次の各号のいずれかに該当する者以外のものをいう」と定め、該当すれば反則者から外れる、つまり青切符ではなく赤切符(刑事手続き)に回る場合を列挙しています。この記事の文脈で特に関係があるのは次の3つです。

当該反則行為をした場合において、酒に酔つた状態若しくは第百十七条の二第一項第三号に規定する状態で車両等を運転していた者
当該反則行為をし、よつて交通事故を起こした者
十六歳未満の者

(e-Gov法令検索 道路交通法(新しいタブで開く))

つまり、信号無視そのものは別表第六の対象行為でも、①酒に酔った状態・酒気帯びの状態で運転していた、②その違反によって交通事故を起こした、③運転者が16歳未満だった、のいずれかに当たれば、青切符は使えず、従来どおりの刑事手続きになります。中学生以下の年齢が違反しても青切符という仕組み自体が及ばない、という点は誤解されやすいところです。

青切符は、あとから裁判で争えるのか

反則金を期限内に納めれば刑事手続きを受けずに済むという「お得さ」の裏側には、争う手段が限られるという構造があります。反則金の納付を促す通告の法的な性質について、大阪高等裁判所は昭和55年8月27日の判決で、次のように判断しています。

道路交通法126条1項所定の反則行為の告知を受け、反則金の仮納付をした者に対し、同法127条1項、129条2項に基づいてした反則金納付の公示通告は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。

(裁判所ウェブサイト 判例検索(新しいタブで開く))

行政処分に当たらないということは、この通告自体を取消訴訟で争うことができない、という意味です。反則金を払わずに手続きを進めると、最終的には検察官への事件送致という刑事手続きに移っていきます。争いたいのであれば、反則金を納めずに刑事手続きの中で主張するという道筋になる、という制度設計です。「前科がつかない」という利点と、「通告そのものには正面から異議を言う場がない」という制約は、セットになっていると理解しておく必要があります。

自分の場合はどうなるのか(境界線)

場面扱い
16歳以上が、信号無視・一時不停止・携帯電話使用などを単独で行い、事故なし・素面だった青切符(反則金)
同じ違反をしたが、それによって交通事故を起こした反則者から除外。赤切符(刑事手続き)
酒に酔った状態・酒気帯びの状態で運転していた反則者から除外。赤切符(刑事手続き)
違反したのが15歳以下だったそもそも青切符の対象外(別の対応)
傘を差す・イヤホンで音が聞こえない状態で運転した「公安委員会遵守事項違反」として青切符(5,000円)

受験生向けの一言

125条2項のつくりは、刑法の答案でおなじみの「原則として要件に当たれば成立するが、一定の事情があれば別扱いになる」という構造とよく似ています。構成要件に該当したら、原則として違法で有責という記事で説明した、原則と例外(阻却事由)を分けて書く作法と同じ読み方で、まず別表第六の該当性(原則)を確認し、そのあとで125条2項の除外事由(例外)に当たらないかを別立てで検討する、という二段構えで押さえておくと整理しやすくなります。

よくある質問

Q. 自転車の青切符は、いつから始まったのですか?

2026年4月1日から、改正された道路交通法施行令にもとづいて適用が始まっています。対象は16歳以上の自転車の運転者です。

Q. 反則金を払わなかったらどうなりますか?

期限内に反則金を納めない場合、通常の刑事手続きに移行し、検察官への事件送致を経て刑事処分の対象になり得ます。反則金を納めれば、その行為について刑事訴追を受けずに手続きが終わります。

Q. 子ども(中学生など)が信号無視をした場合も青切符になりますか?

なりません。道路交通法125条2項4号により、16歳未満の者は青切符制度上の「反則者」から除外されています。

Q. 反則金納付の通告に納得できない場合、裁判で取り消してもらえますか?

この記事で紹介した大阪高等裁判所の判決によれば、反則金納付の通告は抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないとされています。通告そのものを取消訴訟で争うことは想定されておらず、争うのであれば反則金を納めずに刑事手続きの中で主張する形になります。


本記事は、道路交通法・道路交通法施行令の条文と、裁判所ウェブサイトの判例検索に収録された判決にもとづく一般的な情報であり、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士等の専門家にご相談ください。

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#レイの法廷#コラム#道路交通法#青切符

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