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予備試験の民法で重要な判例6本 — 規範とあてはめの形で横断する

予備試験の民法で「重要な判例」とは、条文の文言だけでは答えが出ない場所に、最高裁が答案で使える形の規範を置いた判決のことです。覚えるべきは判例の名前でも結論でもなく、最高裁が実際に述べた一文と、その一文が拾うことを求めている事実の種類です。この記事は、公開されている最高裁判決6本を、総則・物権・担保・契約・不法行為・親族にまたがる形で、規範→あてはめの順に並べ直したものです。引用はすべて判決文のとおりで、直後に平易な言い換えを付けています。

判例は結論でなく規範で覚える — 予備試験の民法・最高裁6本を横断する

予備試験の民法で「重要な判例」とは — 定義

重要な判例とは、条文が要件を書いていながら「どの事実があればその要件を満たすのか」を書いていない箇所について、最高裁がその物差しを言葉にした判決をいいます。

物差しの中身は、条文の側には書かれていません。たとえば民法1条は、全体でもこれだけです。

第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。 2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。 3 権利の濫用は、これを許さない。

(e-Gov 法令検索 民法(新しいタブで開く))

この2項(信義則。相手の信頼を裏切らないように振る舞えという原則)は、この記事で扱う6本のうち3本の中に、名指しで出てきます。条文が短いほど、その中身は判例が持っているということです。

なぜ、判例の名前と結論を覚えても書けないのか

理由は1つに絞れます。条文は要件を書いていても、要件を満たす事実の種類を書いていないからです。

民法714条1項を例にします。

第七百十四条 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

「その義務を怠らなかったとき」とは、具体的にどういう状態なのか。条文は何も言いません。だから答案は、この空白に規範を置くところから始まります。「判例がある」と書いても、空白は埋まりません。埋まるのは、規範の一文を書き、問題文の事実をその一文の言葉に結び直したときだけです。

判例が積み上げたルール — 6本の一覧

裁判所・年月日論点(条文)判例が示したルール
最高裁第二小法廷 昭和43年8月2日 判決(民集22巻8号1571頁)背信的悪意者(民法177条)登記がないと主張すること自体が信義に反する事情があれば、その者は177条の「第三者」に当たらない
最高裁第一小法廷 平成17年3月10日 判決(民集59巻2号356頁)抵当権に基づく妨害排除請求(民法369条)競売手続を妨害する目的の占有権原設定があり、交換価値の実現が妨げられているときは、抵当権者は排除を求められる
最高裁第一小法廷 平成18年2月23日 判決(民集60巻2号546頁)94条2項・110条の類推適用(民法94条2項・110条)積極的関与・あえて放置と同視し得るほど重い帰責性があれば、善意無過失の第三者が保護される
最高裁第二小法廷 平成23年7月15日 判決(民集65巻5号2269頁)更新料条項の有効性(民法1条2項・消費者契約法10条)一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り無効にならない
最高裁第一小法廷 平成27年4月9日 判決(民集69巻3号455頁)監督義務者の免責(民法714条1項ただし書)通常は危険が及ばない行為でたまたま損害が生じたときは、具体的な予見可能性などの特別の事情がない限り義務違反としない
最高裁大法廷 昭和62年9月2日 判決(民集41巻6号1423頁)有責配偶者の離婚請求(民法1条2項・770条)別居が相当の長期間に及び未成熟の子がいない場合は、有責配偶者からの請求という一事では退けられない

6本に共通しているのは、どれも「要件を満たす事実の種類」を言葉にしているという点です。以下、1本ずつ同じ順序で並べます。

1. 登記がない相手に「あなたは第三者ではない」と言える場合

最高裁第二小法廷 昭和43年8月2日判決(昭和42年(オ)第564号 所有権確認請求・民集22巻8号1571頁・上告棄却)。

民法177条は、不動産の物権変動は登記をしなければ「第三者に対抗することができない」と定めます。条文の文言からは、先に登記をした者が勝つように読めます。ところが判決はこう述べました。

実体上物権変動があつた事実を知る者において右物権変動についての登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情がある場合には、かかる背信的悪意者は、登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有しないものであつて、民法一七七条にいう第三者に当らないものと解すべきところ

つまり、知っていただけでは足りず、「登記がないと言い張ること自体が信義に反する」といえる事情があって初めて、その人は177条の「第三者」から外れるということです。単に知っていた(悪意)というだけなら、177条の世界では排除されません。

あてはめで拾うのは、次の種類の事実です。裁判所が公表した裁判要旨は、本件の事情をこう整理しています——他人が買い受けて23年余り占有している事実を知っていたこと、その登記がされていないのに乗じたこと、高値で売りつけて利益を得る目的であったこと(裁判例結果詳細(新しいタブで開く))。知っていたか・乗じたか・何のためかの3点がそろって、初めて信義違反の評価に届きます。

転得者が出てくると答えが変わります。最高裁第三小法廷 平成8年10月29日判決(民集50巻9号2506頁)は、「たとい丙が背信的悪意者に当たるとしても、丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもって乙に対抗することができるものと解するのが相当である」と述べました。背信性は人ごとに判断するということです。この論点は背信的悪意者の記事で、取得時効と登記の場面まで含めて扱っています。

2. 自分の不注意で、他人名義の登記を作られたとき

最高裁第一小法廷 平成18年2月23日判決(平成15年(受)第1103号 所有権移転登記抹消登記手続請求事件・民集60巻2号546頁・上告棄却)。

不動産の登記に公信力はありません。登記を信じて無権利者から買っても、それだけでは所有権を取得できないのが原則です。では、本人がまったく関与しないまま不実の登記が作られた場合はどうなるか。判決は次のように述べました。

甲によって虚偽の外観(不実の登記)が作出されたことについての上告人の帰責性の程度は,自ら外観の作出に積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重いものというべきである。
民法94条2項,110条の類推適用により,上告人は,甲が本件不動産の所有権を取得していないことを被上告人に対し主張することができない

つまり、自分で偽の外観を作った場合や、知っていて放置した場合と「同じくらい重い」と言える落ち度があれば、善意無過失の第三者には勝てないということです。94条2項を「適用」したのではなく、110条と合わせて「類推適用」した点が答案では効きます。

あてはめで拾う事実は、判決文が並べたとおりです。合理的な理由がないのに登記済証(権利証)を数か月放置したこと、印鑑登録証明書を2回にわたって計4通交付したこと、売却する意思がないのに言われるまま売買契約書に署名押印したこと、そして実印を渡し、目の前で登記申請書に押されるのを「その内容を確認したり使途を問いただしたりすることもなく漫然とこれを見ていた」こと。不注意の中身を、動作のレベルまで降ろして書くのがこの論点のあてはめです。事案の全体像は94条2項・110条の類推適用の記事にあります。

3. 抵当権者が、占有者に明渡しを求められる場合

最高裁第一小法廷 平成17年3月10日判決(平成13年(オ)第656号 建物明渡請求事件・民集59巻2号356頁)。

抵当権は占有を移さない担保です。だから本来、誰が住んでいるかに口を出せません。それでも判決は、次の規範を置きました。

抵当権設定登記後に抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者についても,その占有権原の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ,その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは,抵当権者は,当該占有者に対し,抵当権に基づく妨害排除請求として,上記状態の排除を求めることができるものというべきである。

つまり、「賃借権がある」という形をとっていても、それが競売を妨害する目的で作られ、現に価値の実現を妨げているなら、抵当権そのものを根拠に排除できるということです。要件は、妨害目的という主観面と、交換価値の実現が妨げられているという客観面の二段になっています。

さらに判決は、明渡しの相手方についても述べています。

抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり,抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には,抵当権者は,占有者に対し,直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができるものというべきである。

あてはめで拾うのは、賃料や敷金の不自然さ、当事者の人的つながり、競売の現実です。本件では、適正賃料が月額592万円から613万円と算定されるのに賃料は月額100万円、敷金だけが1億円に増額され、占有者と賃借人の代表取締役は同一人でした。最低売却価額を6億4039万円から4億8029万円に引き下げても売却の見込みが立たず、所有者側は抵当権を100万円の支払と引換えに放棄するよう要求しています。

ただし、勝っても金銭は取れません。判決は「抵当権者は,抵当不動産に対する第三者の占有により賃料額相当の損害を被るものではないというべきである」とも述べています。抵当権者は自分で使える権利を持っていないからです。この判決の通し解説は抵当権に基づく妨害排除請求の記事にあります。

4. 更新料の特約が、無効にならない理由

最高裁第二小法廷 平成23年7月15日判決(平成22年(オ)第863号・民集65巻5号2269頁)。

ここで民法1条2項が、別の法律の条文の中に埋め込まれた形で出てきます。消費者契約法10条が、条項を無効とする要件として「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」という言い方をしているためです。判決の規範は次のとおりです。

賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は,更新料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当である。

つまり、契約書にはっきり書いてあり、金額が賃料や更新の期間に照らして高すぎると言えないのであれば、更新料の特約は無効にならないということです。

答案で落としやすいのは、その手前の判断です。判決は10条の前段については「更新料条項は,一般的には賃貸借契約の要素を構成しない債務を特約により賃借人に負わせるという意味において,任意規定の適用による場合に比し,消費者である賃借人の義務を加重するものに当たるというべきである」として、該当することを認めています。前段で認めたうえで後段で救う、という二段構えです。前段の検討を飛ばすと、この構造が答案に出ません。

あてはめで拾う事実は、①条項が契約書に一義的かつ明確に書かれているか、②更新料の額が賃料の何か月分か、③更新される期間が何年かの3点です。本件は更新料が賃料の2か月分、更新の期間が1年間で、特段の事情はないとされました。「高額に過ぎる」の上限値を、判決は示していません。

5. 責任能力のない子の親が、責任を負わない場合

最高裁第一小法廷 平成27年4月9日判決(平成24年(受)第1948号 損害賠償請求事件・民集69巻3号455頁)。

事案は、放課後の校庭でサッカーゴールに向けて蹴られたボールが道路に出て、これを避けようとした自動二輪車の運転者が転倒し、その後死亡したというものです。原審は親の責任を認めました。最高裁が引用する原審の判断は、「そもそも本件ゴールに向けてサッカーボールを蹴らないよう指導する監督義務があり,上告人らはこれを怠った」というものでした。これに対し最高裁は、次の規範を置いて結論を変えています。

親権者の直接的な監視下にない子の行動についての日頃の指導監督は,ある程度一般的なものとならざるを得ないから,通常は人身に危険が及ぶものとはみられない行為によってたまたま人身に損害を生じさせた場合は,当該行為について具体的に予見可能であるなど特別の事情が認められない限り,子に対する監督義務を尽くしていなかったとすべきではない。

つまり、目の届かないところでの日頃のしつけは一般的なものにならざるを得ないのだから、ふだん危険とは見られない行為でたまたま事故が起きたときは、その行為を具体的に予見できたなどの事情がない限り、親の義務違反にはしないということです。

あてはめで拾うのは、行為そのものの危険性と、場所の作りです。判決が並べたのは、放課後に児童へ開放されていた校庭であったこと、使用可能な状態のサッカーゴールに向けたフリーキックの練習であったこと、ゴールの後方約10メートルに高さ約1.3メートルの門扉と高さ約1.2メートルのネットフェンスがあり、その外に幅約1.8メートルの側溝があったこと、道路の交通量は少なかったこと、そして「殊更に本件道路に向けてボールを蹴ったなどの事情もうかがわれない」ことでした。

6. 有責配偶者からの離婚請求が認められる場合

最高裁大法廷 昭和62年9月2日判決(昭和61年(オ)第260号 離婚・民集41巻6号1423頁・破棄差戻)。裁判所が公表する参照法条は、民法1条2項と民法770条です(裁判例結果詳細(新しいタブで開く))。

有責配偶者からされた離婚請求であつても、夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもつて許されないとすることはできないものと解するのが相当である。

つまり、別居が年齢と同居期間に照らして相当に長く、未成熟の子がおらず、相手が極めて過酷な状態に置かれるような特段の事情もないのであれば、責任のある側からの離婚請求だからという理由だけでは退けられないということです。本件の別居は約36年、同居していたのは約12年でした。

注意したいのは、「相当の長期間」が年数で決まるわけではない点です。別居8年余りで同居26年余りの事案では「相当の長期間に及んでいるものということはできず」とされ、別の事案では「数量的に対比するのみでは足りず」とも述べられています。逆に、未成熟の子がいても請求が認められた事案があります。3つの要素は、足し算ではなく、相互に見合うかどうかで判断されています。

判例が述べたことと、学説の整理は分けて書く

6本のどの判決文にも、学説の名前は出てきません。ここを混ぜると、答案は「判例が◯◯説を採った」という、判決文のどこにも書かれていない命題を前提にしてしまいます。

判例解説では、平成18年2月23日判決について、どれほど著しい不注意であっても、不実と知りながら外観を作り出した場合や承認した場合と同視してよいのかという疑問が示され、110条を類推する理由づけもはっきりしないと評されています。判決がどの理論的立場に立つのかは明らかでない、という整理です。

714条についても同じことが言えます。判例解説は、監督者責任を代位責任的に捉える理解が学説上有力になっていたのに対し、平成27年・平成28年の2つの判決は監督義務を第三者への加害防止に向けられた実質的な義務と捉える方向を示したと整理し、他方で、熱心に介護する人に不当に重い責任を課すとの批判があることにも触れています。更新料判決については、10条前段の該当性を認めたうえで後段の該当性を否定する構成だ、という評もあります。

以上は学説・評釈の整理であり、判例がどれかの説を採ったことを意味しません。答案では、引用できるのは判決文の言葉だけで、学説は「このような議論がある」と位置づけて書くのが安全です。

なお、この記事では個々の判決について出題実績を書いていません。法務省が公表した問題・出題趣旨・採点実感で確認できたものだけを書く方針のためです。

結論が分かれる具体例 — 同じ714条で、争点の位置が変わる

上の5本目と、その2年後の判決を並べると、争点が条文のどこに置かれるかで検討の順序が変わることが分かります。後者は、認知症の人が駅構内の線路に立ち入って列車に衝突し、鉄道会社が妻と長男に損害賠償を求めた事件です(最高裁第三小法廷 平成28年3月1日判決・民集70巻3号681頁)。

平成27年4月9日判決

  • 親が監督義務者であることは争われていない
  • 争点はただし書「その義務を怠らなかったとき」
  • 判断材料は行為の通常の危険性と具体的な予見可能性
  • 民法752条は出てこない
  • 結論は、義務を怠らなかった

平成28年3月1日判決

  • そもそも監督義務者に当たるかが争点
  • 争点は本文「監督する法定の義務を負う者」
  • 判断材料は親族関係の濃淡・同居や接触の程度・介護の実態
  • 752条は夫婦間の義務であり第三者への作為義務ではないとされた
  • 結論は、法定の監督義務者にも準ずべき者にも当たらない

平成28年判決は、法定の監督義務者に当たらない者でも、「監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情」があれば714条1項を類推適用すると述べ、その判断を諸般の事情の総合考慮に委ねました。同じ条文でも、入口(本文)で切るか出口(ただし書)で切るかによって、拾う事実がまるごと入れ替わります。どちらの事件も結論は「家族は責任を負わない」ですが、答案に書く道筋は別物です。

判決の射程をどう測るかという問題そのものは、判例の射程の記事で手順に分けて扱っています。

答案の型 — 規範を書いてから、事実を拾う

6本に共通する書き方を、順序にすると次のようになります。

民法の判例を答案に落とす順序
  1. 条文の文言から始める — 177条なら「第三者」、714条なら「その義務を怠らなかったとき」。どの語の意味が問題なのかを先に特定する
  2. 原則を一度書く — 登記が先なら勝つ、責任無能力者の監督義務者は賠償する。原則を書かずに例外から入ると、なぜ例外が要るのかが伝わらない
  3. 本件の特殊性を1つに絞る — 23年余の占有を知っていた、目の前で実印を押された、校庭が開放されていた。ここが長いと規範がぼやける
  4. 問題提起 — 「◯◯は、177条の『第三者』に当たるか」の形で、問いを1つだけ立てる
  5. 規範を書く — 判決文の一文を自分の言葉で再現する。趣旨(なぜその線を引くのか)と、対立する利益を一言ずつ添える
  6. 要件ごとにあてはめる — 規範が使った語の順に、問題文の事実を並べ替える。数字・距離・期間はそのまま使う
  7. 結論と射程 — 認められる/認められないを書いたうえで、どこまでが本件限りかを一言で押さえる

5番で「判例はこう判断した」とだけ書くと、6番で拾うべき事実の種類が決まりません。規範の言葉が、拾う事実を指定しているという関係を守ると、あてはめが自動的に具体的になります。

関連する判例と動画

この記事で扱った論点は、次の記事でそれぞれ1本ずつ掘り下げています。

動画では、同じ判例を物語の形で見られます。背信的悪意者(第10話)と抵当権に基づく妨害排除請求(第13話)は、それぞれ次の回です。

よくある質問

Q. 予備試験の民法は、どの判例から手をつけるのがおすすめですか?

本数や順序に決まった正解はありません。ただ、この記事の6本のように条文の文言だけでは答えが出ない箇所から入ると、判例を覚える理由がそのまま分かります。177条の「第三者」、714条1項ただし書の「その義務を怠らなかったとき」のように、条文の中の1語が争点になっている判決が、その型です。

Q. 判旨は丸暗記しないといけませんか?

全文を覚える必要はありません。覚えるのは、規範にあたる一文と、その一文が使っている語です。たとえば平成27年4月9日判決なら「通常は人身に危険が及ぶものとはみられない行為」「たまたま」「具体的に予見可能であるなど特別の事情」の3つで、あてはめで拾う事実の種類が決まります。

Q. 判例が採った学説の名前も書いたほうがよいのですか?

判決文に学説の名前は出てきません。この記事の6本も同じです。学説は「このような議論がある」と位置づけて書き、判例が述べたこととは分けておくのが安全です。混ぜると、判決文のどこにも書かれていない命題を前提にしてしまいます。

Q. 事件の通称を覚える必要はありますか?

答案で必要なのは、裁判所・年月日と、そこで示された規範です。通称は検索と記憶のための手がかりにはなりますが、通称を書いたから点が付くわけではありません。年月日が不確かなときは、無理に書かず「判例は〜としている」と述べるほうが安全です。

Q. 下級審の裁判例も押さえるべきですか?

この記事では最高裁判決だけを扱いました。下級審の判断は、公式の判例検索に収録されていないものも多く、原文で確かめられないまま孫引きすると、事実関係や判示内容がずれて伝わることがあります。原文を確認できる範囲で使うのが安全です。


本記事は、裁判所が公開している判決文および e-Gov 法令検索の条文にもとづく一般的な解説であり、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士等の専門家にご相談ください。動画では当事者を仮名にし、判決文が認定した事実を基に物語として再構成しています。

民法の判例を、アニメで観る

判例アニメ「レイの法廷」では、民法の回を全18話公開しています。権利の濫用・取得時効と登記・親の監督責任・損害賠償の額など、暮らしと取引の基本になる判例を扱います。

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